負傷した目を治療するべく佐渡から上京した北(きた)だったが、期待空しく失明を免れない事がわかる。やがて、「国体論と純正社会主義」を携え自費出版までし自らの主張を世に問う北だったが、激動のアジアは明治から大正、昭和へと突入して行く――。戦前の思想家をモデルに描く人間ドラマ『一輝まんだら』完結編。他、短編『時計仕掛けのりんご』『バイパスの夜』『嚢』『イエロー・ダスト』『悪魔の開幕』『山楝蛇』を収録。 <手塚治虫漫画全集収録巻数>『一輝まんだら』(手塚治虫漫画全集MT283『一輝まんだら』第2巻収録)/『時計仕掛けのりんご』(手塚治虫漫画全集MT261『時計仕掛けのりんご』収録)/『バイパスの夜』(手塚治虫漫画全集MT261『時計仕掛けのりんご』収録)/『嚢』(手塚治虫漫画全集MT261『時計仕掛けのりんご』収録)/『イエロー・ダスト』(手塚治虫漫画全集MT261『時計仕掛けのりんご』収録)/『悪魔の開幕』(手塚治虫漫画全集MT261『時計仕掛けのりんご』収録)/『山棟蛇』(手塚治虫漫画全集MT321『大地の顔役バギ』収録) <初出掲載>『一輝まんだら』 1974年9月28日号~1975年4月12日号 漫画サンデー連載(※全巻通しての初出)/『時計仕掛けのりんご』 1970年4月17日号~5月8日号 週刊ポスト連載/『バイパスの夜』 1969年10月10日号 週刊ポスト掲載/『嚢』 1968年5月10日増刊号 漫画サンデー掲載/『イエロー・ダスト』 1972年7月12日号 ヤングコミック掲載/『悪魔の開幕』 1973月11月27日号 増刊ヤングコミック掲載/『山楝蛇』 1972年9月4日増刊号 漫画サンデー掲載
1974〜1975年に漫画サンデーに連載された作品です。1900年、清朝末期の中国での物語から、主人公の亡命によって舞台は日本へ。史実の事件や人物等も交えながら展開します。 正直、最初に読んだときはピンと来なかったんですよね。当時は火の鳥から手塚にはまって読み漁っていた時期だったので、火の鳥っぽい要素を求めすぎていたのかもしれません。 それから幾星霜、わたしも大人になりまして、そういうのヌキで読めるようになったのですが、ムムム意外と面白い!!ちょうど盛り上がってきたところで打ち切りにより終了してしまうのですが、本当にもったいないですね!!昭和初期まで各構想があったようで、続きがすごく気になります!! あとがきで、「第二部では、日本の軍閥の跋扈と退廃、北青年の失意と上海での執筆活動、そして二・二六事件の青年将校の蜂起、という核心に移していきたいと思っています。どこかで連載をやらせてくれないでしょうか。」と手塚先生自ら営業されてます。実現しなかったのが残念でなりません。 あと短編が6編併録されています。サスペンス感あふれる作品中心にまとまっていて、ものすごく読ませるもので溢れてます。 ■時計仕掛けのりんご ■バイパスの夜 ■嚢 ■イエロー・ダスト ■悪魔の開幕 ■山楝蛇 特に「嚢」は奇形嚢腫を扱った1968年作品で、ピンときた方もいらっしゃるかと思いますが、ピノコ誕生の話のプロトタイプ的なものです。 「時計仕掛けのりんご」も全集のタイトルとなったこともあるほどの作品で、当然面白いですし、「バイパスの夜」は世にも奇妙な冒険でドラマ化もされたようです。