あらすじ現代人に多発する、人間性の欠落は、真の恐怖となって人を襲う。絶え間なく聞こえる憎しみと怒りの声の渦。幻聴と幻視のなかで生きていた芙美子は、いつしか一切の感情を実感できない人間になっていた。怒りもなく悲しみもない。無慈悲に人々を見つめる芙美子こそ、もっとも罪深き傍観者である──。(巻末解説付き:香山リカ)