五年生の春休みを祖母の田舎で過ごしていた吉晴は、夜、父・晴彦の双眼鏡を川に忘れたことに気付き、探しているうちに、誤って川に落ちてしまう。溺れる、と思った吉晴を助けてくれたのは、二人の着物姿の青年・清太と魚吉だった。二人はこの河に棲む河童だという。確かに甲羅も水かきもある。吉晴が無くした双眼鏡は魚吉が持っていて、無事に返してもらう。必ず遊びに来ることを約束して帰宅した吉晴に、晴彦は、「魚吉と清太は元気だったか?」とほほえむ。実は、晴彦も子供の頃に、この二人に出会っていたのだ。それ以来、吉晴は、夏休みを彼らの棲む川で過ごしている……。