あらすじ

「女王」が存在する人魚の世界では、行方不明の前女王の影がちらついていた。前女王と甦った人魚の兵隊ボイルの関係に疑問を持ち、現女王に尋ねるコーラル。海では前女王が仕掛けた新たな罠で大混乱が起こっていた。
コーラル ~手のひらの海~(1)
コーラルや人魚達、人魚を守る少年ソルト、おしゃべりで憎めない縞鮫ストライプ――。海の世界と現実の世界がリンクする――入院中の少女・珊瑚が綴る不思議でキュートな海の物語。待望の第1巻。
コーラル ~手のひらの海~(2)
夢見がちな少女・珊瑚のリアルな日常と、彼女が語る海の世界の物語が同時進行で描かれる注目の第2巻。男と駆け落ちした母親の問題と、人魚たちの世界に忍び寄る前女王の影がリンクしていく。
コーラル ~手のひらの海~(3)
「女王」が存在する人魚の世界では、行方不明の前女王の影がちらついていた。前女王と甦った人魚の兵隊ボイルの関係に疑問を持ち、現女王に尋ねるコーラル。海では前女王が仕掛けた新たな罠で大混乱が起こっていた。
コーラル ~手のひらの海~(4)
遂に姿を現した好戦的な前女王ポーラチュカ。海の世界は再び戦いの舞台になってしまうのか!?また、現実の世界では、家出した母親に会うことを珊瑚は兄に迫られる。海と陸がシンクロするオーシャンドリーム・ファンタジー。
コーラル ~手のひらの海~(5)
コーラルたちの世界を徐々に侵していく人間界の物質。人魚の女王シトロンは運命の決断をする。一方、現実世界では、戻って来た母親の過去が次々と明らかに……。そして、突然倒れた母に珊瑚は──!? 涙と感動の最終巻!!
私の部屋の猫放題【豪華版】

私の部屋の猫放題【豪華版】

TONO先生自慢の愛猫・フィーたんは、めったに人前に姿を現さない、とってもシャイなねこ。そんなフィーたん、実はかなりの変わり者にゃんこだった! 「あんたはワイのおかんか!」って思わずツッコミたくなるくらい、先生の1日のあらゆる行動を知りたがる。それに、なぜか自分をバスタオルだと思いこみ、棚から動こうとしない…。でも、そんな意味不明な行動の全てがたまらなく愛おしい! やりたい放題なフィーたんと、やさしく(!?)見守るTONO先生のほのぼのねこコメディマンガ♪ ※この作品は『新・私の部屋の猫放題』『新・私の部屋の猫放題2』の内容を収録した豪華版になります。重複購入にはくれぐれもご注意ください。
TONOちゃんの裏しまえぶりでぃ

TONOちゃんの裏しまえぶりでぃ

始まりはマンガ情報誌『ぱふ』。知る人ぞ知る猫エッセイコミックの先駆け「しましまえぶりでぃ」。『ネムキ』から『Nemuki+』にかけて雑誌のもう一つの顔、裏表紙の「しましまえぶりでぃ」を一冊に。歴代猫マンガを多数収録。
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新・私の部屋の猫放題

新・私の部屋の猫放題

フィーたんの意味不明な行動もワタクシにとってはちょっとした幸せ★ 相変わらず理解不能の猫ですが、愛おしさは、ますますつのるばかり!? ワタクシの猫浸け生活も日に日にパワーアップ!! やりたい放題生物フィーたんの行動も過激に…!!
ダスク ストーリィ -黄昏物語-

ダスク ストーリィ -黄昏物語-

人や動物の霊、強い”想い”など不思議なものを見る目を持つ少年タクト。彼の瞳が見つめるものは・・・。TONO先生の「ダスクストーリィ -黄昏物語-」が登場! 記憶の中の遠い日々、大切な思い出がよみがえる。ハートフル・ゴーストストーリー!
Nemuki+

Nemuki+

「Nemuki+」初の無料お試し電子版。人気連載作品の第1話+7月号から始まった新連載を収録。「ホーンテッド・キャンパス」原作・櫛木理宇/漫画・箸井地図、「僕僕先生」原作仁木英之/漫画・大西実生子、「殺人初心者」原作・秦建日子/漫画・瓦屋根、「朱黒の仁」槇えびし、「闇の守り人」コミカライズ連載直前特集記事!イラスト・結布/原作・上橋菜穂子、「百鬼夜行抄」今市子、「謎のあの店」松本英子、「雨柳堂夢咄」波津彬子、「悪霊退散大作戦」魚住かおる、「コーラル―手のひらの海―」TONO、「1/4×1/2R」篠原鳥童、「星が原あおまんじゅうの森」岩岡ヒサエ
試し読み
私の部屋の猫放題 キャット イン マイ ルーム

私の部屋の猫放題 キャット イン マイ ルーム

きょうもお部屋でやりたい放題、TONO先生のお宅の16歳の長毛猫・フィオーレちゃん。なぜ猫は自分の10倍サイズの生き物(人間)といっしょに寝たがるのか? なぜホットカーペットの暖かくない側で寝るのか? なぜ午前2時にみえない敵と戦い始めるのか? 愛すべきパートナーにしてときどき暴君たるフィーたんと先生が全身全霊でぶつかり合う愛の日々。
私の部屋の猫放題

私の部屋の猫放題

フィーたんの意味不明な行動もワタクシにとってはちょっとした幸せ★ 相変わらず理解不能の猫ですが、愛おしさは、ますますつのるばかり!? ワタクシの猫浸け生活も日に日にパワーアップ!! やりたい放題生物フィーたんの行動も過激に…!!
とのとのとのこの ぐだぐだ雑記

とのとのとのこの ぐだぐだ雑記

【待望の新作エッセイ! とのこのペースで 悠々自適なおひとりさま生活♪】締切に追われながら、言うことを聞かない体と戦いながら、今日もTONO先生は大忙し! 持ち前の“人間観察眼”を働かせ、世の中をウォッチング♪ お家で飼っている猫から海外のトイレ事情まで、壮大なスケール(!?)で綴られる日常をこっそり覗いちゃおう!
その日世界は終わる

その日世界は終わる

海野つなみ氏が漫画の原作に初挑戦し、人気漫画家10人が描いた注目作! デジタル版には、海野つなみ氏のネーム原作全話分を特別収録。シリーズ共通のテーマは「世界の終末」。オムニバスでそれぞれが描く「終末」とは!?
コーラル ~手のひらの海~
勇気を持った子どもたち
コーラル ~手のひらの海~ TONO
pennzou
pennzou
『コーラル ~手のひらの海~』は2007年から2014年にかけて『ネムキ』(朝日新聞社、朝日新聞出版)および『Nemuki+』(朝日新聞出版)にて連載された、TONO先生による長編作品です。全5巻の単行本に纏められています。 交通事故に遭い入院している少女・珊瑚。事故当時、珊瑚の母は珊瑚には本当の父親が別にいると言い残し、家を出ていってしまった。珊瑚はコーラルという人魚を主人公とした、人魚がいる世界の物語を空想している。人魚たちは人魚の兵隊を使役する。人魚の兵隊は人魚を守るために命を与えられた、男の水死体である。 人魚の兵隊・ソルトの姿形は、珊瑚が入院先で仲良しになり、そして亡くなってしまったサトシをモデルにしています。珊瑚が空想する物語にソルトが登場することは、珊瑚がサトシを(物語の中で)生かし続けることを意味します。 このように人魚の世界は珊瑚の空想でできているので、珊瑚の思うままです。ソルトを登場させるだけでなく、もっと願望を重ねた理想的な世界にすることだって出来るはず。物語が現実逃避の手段であるなら、なおのことそうするのが自然な気がします。しかし珊瑚はそうしません。人魚は、その血肉が万病に効くという理由で人間に襲われるし、身体を蝕んでくる回虫などから常に身を守らなくてはいけない。さらに人魚たちも一枚岩ではなく、それぞれに悪意もあるし意地悪さも持っている。そういう風に人魚の世界は作られています。それはちょうど、現実の珊瑚の身の回りに不安やノイズがつきまとっていることが反映されたかのようです。 珊瑚は、どうして人魚の世界をそのように空想するのでしょうか。 TONO先生のマンガには、ハードな状況に対峙する勇気や強い気持ちをもった子どもたちがたくさん描かれています。それはTONO先生が、子どもたちという存在に対しての信頼というか祈りというか、そういった希望を載せてマンガを描いているからだと思います。同時にそれは、現実世界や大人たちのイヤな部分を克明に描いているということでもあります。 この傾向は『チキタ★GUGU』や『ラビット・ハンティング』に顕著でしょうか。21年10月現在の最新作である『アデライトの花』も4巻で特にその傾向が強まったと考えます。 本作においても、珊瑚やコーラルはそういう勇気を持った子どもたちとして描かれていて、人魚の世界がハードにできているのはこれを描くためだと自分は考えています。勇気を持って頑張るコーラルの物語を想像することで、珊瑚は現実で勇気を持つことができる。大雑把な捉え方ではありますが、これは自分が物語全般を読む・見る理由のひとつでもあるので納得感もあります。 ただその上で、自分がもっと重要だと思うのは、勇気を持った子どもたちが描かれることは大人をも肯定することなんじゃないか、ということです。なぜなら、大人は子どもが育っただけだからです。(いい意味での、『少年は荒野をめざす』の日夏さんですね) 大人と子どもの違いって色々あるように思ってしまうけど、加齢していることと、大人には子どもに対して責任があること、本当のところはそれぐらいしかなんじゃないでしょうか。 そういうのもあって、自分はTONO先生の作品を読むと、現実社会を、時に勇気を持ってでも真摯にやっていかなきゃな…という気持ちになります。本作だと、ラスト付近の展開なんかに強くそう思わされます。 絵について書きます。『チキタ★GUGU』の連載後に開始された本作の段階で、TONO先生の絵柄はかなり確立されていると思います。キャラクターのみならず、背景の、例えば模様のような印象をもつ海藻などにも、TONO先生の絵!としか言いようのない独自の魅力があります。単行本表紙イラストなどの、淡く、それでいて少しくすんだような色合いの水彩で描かれたカラーは、きらびやかなだけでない人魚の世界を表しているかのようです。 先述の通り本作では現実と対峙するための方法として空想の物語を大きく扱っていますが、それ以外の方法も扱っています。そういうところも自分はとても好きです。 好きついでに、自分の本作の特に好きなところを挙げると、4巻途中(ボイルというキャラクターがね、めちゃくちゃいいんですよ…ポーラチュカ……)からガッとギアがシフトアップして物語の一番深いところまで達し、そこから少しずつ凪いだ水面に向かっていく、あの感じです。これは『チキタ★GUGU』にも同じようなところがあるので、TONO先生の作家性なのかもしれません。 最後に『薫さんの帰郷 (TONO初期作品集)』の表題作のモノローグを紹介させてください。以下引用です。 「勇気がいるな 幸せになるにはいつだってね 楽しい毎日を送るにはどうしてもね」(『薫さんの帰郷』、朝日ソノラマ、1998年、p174)