「この世に仇をなす悪魔」と呼ばれた青年・アダと、行動的な王女・朔夜姫(さくやひめ)が活躍する異世界ファンタジー。恐ろしい化け物・月鬼(つくおに)の出現、日照りによる飢饉など悲惨な現実を知らされず、欺瞞だらけの宮廷生活に不満を抱える王女・朔夜姫は、城内を散策していた時、地下牢に幽閉される名もなき青年と出会う。青年にアダと名付けて言葉を教えていた朔夜姫は、処刑が決まったアダを地下牢から解き放ち……!?
不思議な力によって遠い土地に飛ばされた朔夜姫(さくやひめ)と日下彦(くさかひこ)は、立ち寄った街で懸賞金をかけられた殺人鬼アダの存在を知らされる。アダはそんなことはしないと信じようとする朔夜姫だったが、日下彦は懸賞金目当てに殺人鬼アダを倒そうと決意する。一方、その街の権力者の息子・宿名彦(すくなひこ)からパンを恵んでもらったアダは、彼から殺人鬼アダの話を聞いて、思わず動揺を……!?
朔夜姫(さくやひめ)と意見が対立して逃げ出したアダは、何かを感じながら故郷へ向かっていく。そんなアダを追いかける朔夜姫達は、アダが生まれてからずっと見守り続ける精霊・月波(つくは)から、彼の過去について教えられる。その昔、月波に連れてこられた魔術師は、月鬼(つくおに)に殺された母親の体内から赤ん坊を取り上げる。その後、魔術師は月波からその赤ん坊を託されるのだが、恐ろしい子供へと成長して……!?
朔夜姫を助けるために傷つき倒れた日下彦は、医聖とよばれる十六夜の穴牟遅(なむち)の手によって生還した。一行は再び精霊の島を目指すが、彼らの前に安曇の国の恐るべき兵器が現れる……。
アダは戦う!人類の未来を守る為に――!滅びることが定めでも、希望を失わず運命に抗い続けるアダの戦い――ここに決着。堤抄子が壮大なスケールで描くSFファンタジー・堂々完結!!