あらすじ

ある日、妙の父親・画家の森川が麒麟館に帰ってきた。個性的な森川も麒麟館の住人となり、さらににぎわう日々が続く。そのなかで麒麟館の一員・大学生の火野の菊子への想いは深まってゆくが、菊子の立場を不利にしたくないと告白することができない。
麒麟館グラフィティー 1巻

北の街、札幌に60年続く古い下宿館がある。その名は「麒麟館」、夢と希望に輝く若者の家だ。名物大家のこるり婆さんが逝ってしまい、曾孫の妙が管理人としてやってきた。引っ越しの日、妙は道で家出した人妻・菊子を拾うが、彼女の夫・宇佐美秀次は妙の初恋の男だった…!!北海道の四季を背景に、せつなく苦い、愛と友情と青春の日々が始まる!!

麒麟館グラフィティー(2)

ある日、秀次の母親が菊子を連れ戻しにくる。秀次の冷たさに耐えかねて家を出た菊子だったが、もう一度やり直してみようと秀次のもとへ帰る。しかし、秀次は菊子にやさしい言葉をかけてくれない。菊子はいたたまれず再び家を出て、麒麟館にやってくるが…!?

麒麟館グラフィティー(3)

妙は秀次の建築事務所に雇われるが、体面のために菊子を取り戻そうと策を弄する秀次に、激しい怒りの炎を燃やす。そして、ある日菊子の母親が麒麟館にやってきて、自分と菊子の生い立ちを告白する。それを聞いた妙たちは秀次から菊子を守ろうと心に決める。

麒麟館グラフィティー(4)

ある日、妙の父親・画家の森川が麒麟館に帰ってきた。個性的な森川も麒麟館の住人となり、さらににぎわう日々が続く。そのなかで麒麟館の一員・大学生の火野の菊子への想いは深まってゆくが、菊子の立場を不利にしたくないと告白することができない。

麒麟館グラフィティー(5)

秀次は妙を自分の会社・宇佐美建設に雇う。秀次に憧れている妙だったが、菊子を取り戻すために、菊子の仕事を邪魔したり、麒麟館から連れ出し監禁するなどの卑怯な手口を目の当たりにし、怒りの炎を燃やす。そして、秀次の会社の倉庫が火事になってしまい…!?

麒麟館グラフィティー(6)

妙、菊子、秀次、そして火野。愛と拒絶、友情と反発が乱れる複雑な四角関係。妙と秀次は廃材利用の家を建てるため十勝平野を巡り、火野は菊子とプライベート・フィルムを撮るため2人きりで過ごす。わずかになにかが変わりかけていた。菊子は秀次という存在と全力で対峙し始める。

麒麟館グラフィティー(7)

菊子への想いを育ててきた火野は、とうとう告白する。人の愛のあたたかさにふれた菊子は、改めて自分と秀次を見つめなおすことをはじめる。そこへ秀次のいとこ・容子が現れ、菊子から妻の座を奪い返すと宣戦布告するのだが…!?

麒麟館グラフィティー(8)

会社再建のため懸命に動く妙の姿を見て、秀次も妙に一目置くようになった。しかし、それまでは先輩である秀次に心ひかれていた妙だったが、秀次の菊子への冷酷な仕打ちを見て、強い怒りと幻滅を感じだしていた。

麒麟館グラフィティー(9)

大学を卒業した火野は悩みながらも花屋となる道を選び、個性豊かな下宿人・梶井、横山、チカたちも自分の道を気ままにパワフルに進んでいる。菊子の声はいまだ秀次に届かず、妙と秀次の対立は続いている。愛と反目による表向き調和のとれた構図。だが、どこかで崩壊の芽が膨らみ始めていた。

麒麟館グラフィティー(10)

秀次にひかれていた妙は、菊子と秀次の離婚を条件に秀次と一夜を共にした。そして、秀次の子供を身ごもるが流産してしまう。このことを知った秀次は妙の憔悴した姿に動揺し、麒麟館の地上げをやめて姿を消してしまう。

麒麟館グラフィティー(11)

妙と菊子は深い友情で結ばれていた。妙は、秀次を軽蔑しつつも強くひかれていた。菊子は、秀次の対となる相手は自分でなく妙と知っていた。そして、秀次に愛することを知って欲しいと願う反面、意識の下に憎悪を堆積していた……。

麒麟館グラフィティー(12)

いったんは火野を拒絶した菊子だったが、すべてを吐き出すことで火野への愛に気づき、彼の愛を受け入れ始めた。一方、妙は秀次への想いを残しながら、恋に疲れ、なげやりな気持ちで秀次の兄・館林と婚約してしまった妙は、菊子の説得でもう一度、自分の恋を戦う決心をする。

麒麟館グラフィティー(13)

火野は菊子に求婚した。だが、幸福な家庭という夢を信じ始めた菊子に悪い知らせが届く。秀次は妙を愛していることを認めたが、やり残したことがあると言う。冬の初め、永住の地スウェーデンに旅立つ日、秀次は菊子を雪の中にさらっていった。心を揺さぶる愛の傑作、最終章!!

麒麟館グラフィティー 番外編

北海道の四季を背景に、せつなく苦い、愛と友情と青春の日々を描いた感動作『麒麟館グラフィティー』の番外編。妙の子供時代を描いた「柊の実赤い」、火野の両親の出会いを描いた「ポートレート」他2編を収録!!