『true sounds~楽器物語』はかつての名作『true colors』の精神を継承するカラー漫画。「真実の楽音」を鮮烈に描く。第一話はジャズドラム、二話はパイプオルガン、そして本作の三話は「笙」をテーマに物語を紡いでいく。平安時代後期の武将・源之義光は弓馬の術にたけ、音律を能くしたという伝説がある。その義光を羨望の眼差しで見つめる若者は笙の奏者、豊原時元であった。時元の父は義光に笙を教え、そして合奏を楽しんでいた。そのころ奥州では合戦がおこっていた。のちにいう後三年の役である。陸奥守である源義家が苦戦していると聞いた義光は居ても立っても居られず、弦袋を掛けて陣に馳せ下った――