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大正初期。名家・藤堂家の妾の子として生まれた憂雨(ゆう)は、幼い頃より虐げられ奴隷のように扱われていた。特に腹違いの姉・撫子(なでしこ)は、好意を寄せている慎之介(しんのすけ)の前では憂雨と仲のいいふりをしつつ、陰では徹底的に憂雨をいじめていた。いつか自由になりたいと願う憂雨だったが、座敷牢に監禁されている母を見捨てられず叶わずにいた。そんなある日、原因不明の火事によって母が亡くなり、助けにいった憂雨もそのまま消息を絶ってしまう。――7年後、消息を絶ったとされていた憂雨は、別人のように美しく成長し「春陽(はるひ)」と名前を変え藤堂家へ舞い戻り、殺された母の死を胸に復讐を始める。