ガマンは人生のスパイス #1巻応援

誘惑や欲望、あるいは辛いことも多きこの現代社会において、皆さんは日頃何をガマンしていますか? 私は、少し前まで花粉症シーズンに備えグルテンをセーブすべくパン・うどん・ラーメン・パスタ・ピザ・餃子・ケーキ・ビールなど多数の好物を泣く泣くガマンする生活をしていました。また、仕事やタスクが落ち着いたら読もうと思っている去年の12月から3ヶ月連続刊行された人生で一番好きなラノベを未だガマンしています。『オクトパストラベラー2』や『サクラノ刻』も心の底からプレイしたいと思いつつ、未開封のままでガマンです。『FF14』も誘われていてずっとやりたいのですが、始めたら「終焉る」と解っています故ガマン……。確定申告と年度末進行と花粉を闘わせて共倒れさせたいですね。 というわけで、この作品はダメなOL詩乃がさまざまなものをガマンしようと頑張る作品です(※ただし、ガマンできるとは限らない)。第1、2話ではセンリツみたいな容姿の医師に警告を受け、お酒や暴食をガマン。他にも、クソ上司に対するガマンや、休日をダラダラ過ごしてしまうことへのガマン、サウナでのガマンなど欲求に対するもののみならず多種多様なガマンを断行するお話たちが描かれていきます。 人間、ガマンするからこそその後に訪れる時間がより輝いたものになるんですよね。先日のWBCの準決勝・日本VSメキシコなどでも、チャンスを活かし切れずずっとビハインドか同点で最後の最後までガマンし続ける展開が続いて、そこからのあの9回裏の劇的なサヨナラ攻勢。脳汁が出ましたよね。普段野球を全く見ない家族すらも「こんな試合を見せられたら脳がおかしくなる」と言っていたのですが、ある種ガマンの時間を続けさせた後に爆発的な快楽を与えるパチンコなどのギャンブルに通ずるものすらあるなと思ってしまいました。 そして、まさに人間の脳のバグを利用しているとも言われるギャンブルと同等に恐ろしい誘惑を持つソシャゲのガチャをガマンする回も描かれます。無課金のままでいたい、いないと自分はダメになると解っていても煽られる射幸心をいかにして堪えるのか。見所の回となっています。 最近の『ヤニねこ』の隆盛などを見ていても思いますが、ダメ人間やクズのお話が好きな人は少なくないですよね。『カイジ』然り、『連ちゃんパパ』然り。彼らほど酷くはありませんが、少なからずそうした作品を好きな人が好む要素が本作にもあると思います。 宇宙猫、「麦茶だこれ」、「やったねたえちゃん」、『HUNTER×HUNTER』や『進撃の巨人』などそこかしこにネットミームやパロディなど小ネタが豊富に小気味よく盛り込まれており、細かい所でも楽しませてくれます。 本当はダメだと思っていてもガマンできず飲み食いしてしまったり、課金してしまったりする貴方にお薦めです。

兎来栄寿
兎来栄寿
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