あらすじゲイである愛之助(あいのすけ)は日々鬱々とした感情を抱えながら過ごしていた。そんな彼の前に憧れのアイドルである花恋(かれん)が現れる。「事件」の容疑者として、逃げるふたりが選んだ最後の地で、下す決断は――。フォロワー数11万超えの著者が描く、愛の逃避行、上下巻同時発売!
繊細で心に残る良作だ。ヒロインとのせつない逃避行や、ゲイである主人公の抱える孤独に胸を痛めながらも、読後感はわりと悪くなかった。そしてあらためて考える。 「正しい道」とはいったい何だろう?…おそらく主人公にとっては、父親からずっと言われ続けた、呪いの言葉かもしれないが、父からすると、まったく違う想いから発言した言葉だ。この親子の溝の一番の原因は、やはり圧倒的に会話が足りていない事だろう。 この作品に登場する人々はみなそれぞれに苦い痛みを抱えている。誰の視点で物語を読むかによって見え方も違って見えるから不思議だ。