『妖精のおきゃくさま』や『ライアーバード』の脇田茜さんの最新作1巻が発売となりました。 美しい青い海に浮かぶ青い屋根の建物が並ぶ島・アージュア。 その島には魔法の修練に取り組む青い髪の子供たちがいて、主人公のリンドウもそのひとり。けれど、リンドウは他の子たちのように上手く魔法を使うことができず、空気も読めないので孤立してしまっている存在です。いつも一緒の人並外れた魔法が使える赤い髪のキキョウを除いては。 アージュアには謎や秘密も多く、第一話から不穏な描写が複数現れます。 夜の外出禁止は何のためなのか。 空に現れる巨大な虫は何者なのか。 リンドウの周りで起こる不可解な現象はどんな因果で起こっているのか。 島の子供たちは何のために魔法の訓練をさせられているのか。 なぜキキョウだけ髪が赤いのか。 二話、三話と読み進めていくと、更にさまざまな設定が明かされていきます。そして、衝撃と共に謎が謎を呼ぶ展開が巻き起こります。 脇田茜さんの画風はやはりファンタジー描写との親和性が高く、世界観にとても合っていると感じます。サントリーニ島やミコノス島を思わせる冒頭や表紙絵でカラーで描かれるアージュアの景観が好きです。また、三話に登場する″空″と″星″を見分けられるおじさんのように、綺麗なキャラだけじゃないのも良いです。個人的には本だけ読んで暮らすヒキコモリになりたいジュークくんを応援しています。 また、巻末の等身低めおまけマンガもとてもかわいいです。 サスペンスフルなファンタジーを読みたい方にお薦めします。
兎来栄寿
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