あらすじ

幼い頃からいつも一緒だったふたり、クリスティーネとイブ。村の大人たちもふたりを微笑ましく見守っていた。クリスティーネが都へ奉公に、村に残ったイブと離れ離れになっても心はひとつ。互いを恋しがる日々を送っていた。しかし。結婚の誓いを胸に3年ぶりに村に帰ったクリスティーネを待っていた現実は、思いも寄らない心変わりだった。かつてイブは、迷子の森で泣きじゃくるクリスティーネにくるみを握らせて言った。これは、願いを叶えてくれる”神様のご褒美のくるみ”だと。泣き止んだクリスティーネを背負って、ふたりはひとつのくるみのようだった。変わらないと信じたあの頃の絆は、本当にもう途切れてしまったというのだろうか。
こぶ女 ~グリム百物語~

美しい双子姉妹、小桜とお関。しかし、その顔には、醜く垂れ下がる大きなコブがあった。天狗の呪いだ、と噂する村人たちに忌み嫌われて育った双子のこぶ女たち。「なんであたしたちだけこんなめに!!」呪いのこぶを嘆いて恨みつらみのお関。一方、小桜は、いつか呪いを解いてもらえることを信じて、一心に天神さまに願いをかけるのだった。そして、その健気さに心打たれたという旅の男に、嫁に、と望まれる。「なんで小桜だけが!」嫉妬に乱れるお関の逆鱗に触れた小桜は・・・。天狗の狂宴になされるがままに、こぶ女たちの運命は動きだし、こぶの正体が明かされる。

ブランヴィリエ侯爵夫人 ~グリム百物語~

毒殺ブームにわく17世紀フランスの、美貌の毒殺魔ブランヴィリエ侯爵夫人の物語だ。信仰心も道徳心も皆無。ブランヴィリエ侯爵夫人、マドレーヌの頭の中は、いつも愛人ゴーダンのことでいっぱいだった。ゴーダンの手ほどきで始まった毒薬調合に魅せられ、彼が言うなら父親に毒を盛ることすら歓びという壊れっぷり。しかしゴーダンの方では、自分が仕込んだにもかかわらず予想を超えるマドレーヌの奔放な毒殺ぶりに恐怖さえ感じるようになっていく。そんなマドレーヌの最期は、あまりにも意外だった。

赤ずきん ~グリム百物語~

マーゴットは、おばあちゃんが作ってくれた赤い頭巾がお気に入りで、お人形遊びが大好きな女の子。ある日、おばあちゃんの住む家へお使いに、暗く深い森の奥へ奥へと入っていくと、そこには恐ろしいオオカミが獲物を狙って目を光らせていた。目をつけられたマーゴットを襲う恐怖。「ドーン!」「ドーン!」惨殺されたおばあちゃんの無念と、取り上げられたお人形を取り戻すべく、オオカミに猟銃を突きつけるマーゴットだったが・・・!童話「赤ずきん」の教訓であろう、うかつに個人情報は出してはいけない、優しい言葉には裏がある。少女から大人への階段をのぼるマーゴットは、ちゃんとそれに戒められたのか。

イブと小さいクリスティーネ ~グリム百物語~

幼い頃からいつも一緒だったふたり、クリスティーネとイブ。村の大人たちもふたりを微笑ましく見守っていた。クリスティーネが都へ奉公に、村に残ったイブと離れ離れになっても心はひとつ。互いを恋しがる日々を送っていた。しかし。結婚の誓いを胸に3年ぶりに村に帰ったクリスティーネを待っていた現実は、思いも寄らない心変わりだった。かつてイブは、迷子の森で泣きじゃくるクリスティーネにくるみを握らせて言った。これは、願いを叶えてくれる”神様のご褒美のくるみ”だと。泣き止んだクリスティーネを背負って、ふたりはひとつのくるみのようだった。変わらないと信じたあの頃の絆は、本当にもう途切れてしまったというのだろうか。

氷姫 ~グリム百物語~

この愛は、哀しき純情なのか!?恐るべきストーカーなのか!?アネットは思った。”もし、あたしが氷姫だったらどんなに嬉しいかしら”と。氷姫とは、死のキッスで雪山の遭難者を奪っていく言い伝えの魔物である。アネットが切なく奪いたいのは、その雪山で奇跡的に助かったルーディだった。幼い頃、山の死体捜索隊である父親が連れ帰ったときから彼だけを愛している。しかし、それをルーディに告白することは出来ずにいた。アネットは気が強くひねくれ者ゆえ、村中の女の子たちの人気者のルーディに素直になりきれないのだ。そんなある日、ルーディはアネットに手紙を渡す。『心から愛している』と始まったそれはラブレターだったが・・!