あらすじ
宗教2世。親が宗教を信仰している家の子供。宗教ありきで育てられ、世間とはずいぶん違う生活を送っています。参加してはいけない学校行事があったり。薬を使わせてもらえなかったり。人を好きになってはいけなかったり。休日は宗教活動のための日だったり。もちろんそこに幸せを見出す人たちもいるけれど、中には成長するにつれて苦しさを感じる子供達がいることを、知ってほしい。著者含む、7人の宗教2世たちが育ってきた家での出来事をマンガ化した作品が、加筆修正を加え、単行本化。単行本描き下ろし収録。「情報ライブ ミヤネ屋」でも紹介された、今年最注目のノンフィクションコミック!
再び宗教2世の声を集めた書が出る事を祈って、1巻応援とします。 宗教2世という言い方は最近知りましたが、思えば昔から、そういう子は身近な存在でした。クラスメイトの穏やかな男の子は運動会に出なかった。優しいお姉さんが亡くなった家は一家で信仰を始め、その家のお兄さんは家族と色々あったらしい。毎週のように我が家の前を通る、複数の親子集団……。 そういう方の心の内は、子供ながらに聞いてはいけないもの、と思っていたのですが、この本によってその一端が知れます。彼らが持つ、私と変わらないような愛情や嗜好を知ると、宗教2世の方達が抱える葛藤は、私にも切実に伝わって来るのです。 親への愛着、教義への疑問、自由への憧れ、そして何より辛いのが「信仰を捨てたら親の愛を失う」こと。引き裂かれる思いに同調してしまう……。 そしてそこに、幼い頃から教えられた「教義」が、重みを持って様々に絡みます。 複雑に揺れる心の内を伺えたことで、宗教2世の方達が「よくわからない」存在ではなくなり、さらに慮ることが出来るようになります。この話を始めるに当たって、ただ机上の空論を振りかざして感情的になるのではなく、実在する人に「寄り添う」ための、基本の書になるのではないでしょうか。