あらすじ

役人を翻弄させて、夜の大江戸を騒がせた「百虎」。その正体は、若くして主人に死なれ寂しく歳を重ねてきた武家の後家たちだった。鶴次郎に全てを打ち明け、闇に消えて行こうとする彼女たち。どうすればいいのか悩んだ鶴次郎は…?
弐十手物語 1巻

狼の睾丸(ふぐり)の異名をとる同心・藤掛飯伍。腹の底から怒ると、手がつけられなく事から、そう呼ばれている。名奉行・大岡越前の下で数々の難事件を解決して行く。痛快・大江戸同心捕り物時代劇シリーズ! 小池一夫原作、神江里見作画のロングセラー江戸同心捕り物時代劇。1978年3月~2003年11月まで週刊ポスト(小学館)で連載。単行本ではなんと110巻に及ぶ。大岡越前の下で働く二枚目の同心藤掛飯伍と配下の由造、そして三枚目の同心菊池鶴次郎の活躍を人情味豊かに描く。序盤の主人公は藤掛飯伍だが、後に菊池鶴次郎が中心となって物語は展開する。また、1984年にはテレビドラマ化もされ、飯伍に名高達男、鶴次郎に泉谷しげる、大岡越前には萬屋錦之介が扮している。

弐十手物語 2巻

謎の蝋人形師の「ろう女(ろうめ)」に、男根の型を取られる羽目になってしまった同心・飯伍。しかもその女のから妻にしてくれと申し込まれる。何とか自制を保とうとする飯伍だったが…。いやはや。

弐十手物語 3巻

ようやく飯伍への想いを遂げる「ろう女(ろうめ)」。めでたく夫婦になる事になったが、飯伍にはとてつもない大仕事が待っていた。それは江戸中の目明しの十手を返上させる事であった! どうする飯伍?

弐十手物語 4巻

自ら十手を返上したまっとうな岡引以外の鳥渡こい(ちょっとこい)と呼ばれる強請り・たかりを働いていた者を、全て捕らえた奉行所。だが、この時より、町方が手先に十手を与える事が出来なくなり、責任を取って同心を辞した飯伍に、奉行の大岡越前は新たに「隠密廻り同心」を任命した……。

弐十手物語 5巻

身内から科人を出せば、その親も妻も子もことごとく同罪という、連座制のお仕置きを、改めて欲しいと願う飯伍。奉行の大岡越前は、驚くべきパフォーマンスを思いつき、「手のひらに乗るような」軽犯罪者を集めろと命じた。今日に伝わる有名な「大岡裁き」が、新解釈で繰り広げられる!

弐十手物語 6巻

丑寅の艮(うしとらのごん)の三畳にこもる怨気…? 何度も突き落とされそうになったという妻・おはまの訴えで、調べを進める飯伍だが、夫・松吉に動機はなし。おはまの住む三畳間に原因があるのか? 呪いや祟りを相手に大岡の裁きは…?

弐十手物語 7巻

殺された葉吉にすり替わって、下手人をおびき出そうとする同心の鶴次郎。しかし鶴次郎の前に現われたのは、そのニセ葉吉にすり替わろうとする政という男だった。政は有名な女白波・鬼神のお松の元夫で、葉吉を殺したのはお松だと語る。事件の真相は?

弐十手物語 8巻

スリの親分達の会合「指桜会」の元締を務める「茶がまの栄源」。栄源への復讐を果たすため、笹露忍は彼の持っている印籠をスリ取ることにしたが、その印籠には、とんでもない御紋が隠されていた。死を覚悟して恨みを晴らそうとしている忍のため、飯伍のとった手段とは!?

弐十手物語 9巻

大酒飲みで余命いくばくの夜鷹・おりん。そんな彼女の話から、大火の時に延焼を防ぐ火除地の構想が浮かび、奉行から褒美を貰った鶴次郎。鶴次郎はいつしか、本気でおりんを愛してしまう。延焼を防ぐための、空き地「風鈴地」誕生の秘話を描く。

弐十手物語 10巻

町方の包囲網から姿を消した盗賊・煙の重蔵。鶴次郎は、二八そば屋のおよねに不審を抱く。しかし、およねは鶴次郎に手柄を立てさせたくて、自分で重蔵を捕まえていたのだ。だが、その捕獲場所はとんでもない所にあった……。

弐十手物語 11巻

江戸の闇の世界を支配しているお舟御前。いかに非道な事をしても、表立っては決して誰も手出しが出来ない相手であった。だが、同心飯伍と猟師の松造は、こんな輩は許せねえと、二人きりで暗殺に向かったのだが? 飯伍は木っ端役人の意地、松造は初恋相手のお美乃の幸せを願っての決意だった…。

弐十手物語 12巻

天神の八兵衛の元から足抜けして、鶴次郎に保護された千万(ちま)。だが、これは鶴次郎を取り込もうとする八兵衛の罠であった。しかも千万は十六歳の後家で、男たらしの魔性の少女だった。しかし、鶴次郎も優しさでは天下一品。修羅場をくぐった女を惚れさせる天才。さて、この勝負の結果は…?

弐十手物語 13巻

江戸を騒がせる通り魔事件。強姦される女性が続出し、町方は必死でその犯人を追っていた。そんな折、鶴次郎は銭湯で、奥方とともに朝風呂に来ていた浪人と遭遇する。この二人には一体どんな秘密が…?

弐十手物語 14巻

連続殺人犯・お役者ツル平を追う飯伍たち。茶問屋・伊勢屋の娘おさとが何か関わっていると睨んだ由造は、女装して伊勢屋に潜り込んだ。そこには意外な事実が…!

弐十手物語 15巻

かわやの中に浸けられていた凶盗『のンの』の女・雲。糞の中から雲を助け出した鶴次郎は、必死になって看病した。鬼畜の盗人『のンの』を捕らえるために、鶴次郎と雲に一緒に暮らすよう命じる奉行だったが…。

弐十手物語 16巻

新入り同心・神谷摺吉(かみやしゅうきち)は、鶴次郎がなぜ女にもてるのか知りたくて、後をついて歩いていた。十手者の心得を説く鶴次郎だが、実際には仕事を超えた情の厚さを持っている事を知り、摺吉も感服するのだった…。

弐十手物語 17巻

愛した女が必ず死んでしまうという宿命を負っている鶴次郎。結ばれたお紺が死んでしまわないよう気を配る同心仲間だったが、思いもかけぬ屋形船の沈没で…。

弐十手物語 18巻

大晦日の夜、同心たちは筆頭与力より長年(引き続き役に就く)かお役御免の通達を受ける。長年を申し渡された飯伍や鶴次郎たちだったが、持廻りの区域変更によって、鶴次郎は廓廻りを命ぜられた。色と金がからむ遊郭・吉原で、鶴次郎を待つものは…?

弐十手物語 19巻

吉原に、病気の孫を助ける為に1両で自分を買ってくれという老婆が来た。父親は島送りで、母親は女郎をしていたが病死したというのだ。自分の命もろともで1両出してくれと泣く。客の一人が、抱いても良いという男がいれば1両出してやると、酔狂な賭けをした。どうする鶴次郎…?

弐十手物語 20巻

小金持ちの坊主に女郎を見受けさせて、後で坊主の方をゆすりにかける「坊主請け」という足抜きを続ける「源氏屋」集団がいた。罠に掛けるため、花魁の千鶴葉は奴らの誘いに乗った。しかし「源氏屋」に悟られて、命の危機に…!?

弐十手物語 21巻

南町奉行所が非番のとき、女の溺死体に出くわした鶴次郎。北町奉行所の同心・東金の検分を手助けした鶴次郎は、尼僧に見せかけられた死体の謎を解くため、一晩、仏と一緒に寝かせてくれと申し出る…。

弐十手物語 22巻

船底に潜って難を逃れた鶴次郎とかもめ。かもめの父親は、金や自分の身を守るためなら、娘さえも殺そうとする極悪人・海猫の三次。かもめの心を救うために、加勢も呼ばず三次一味の襲撃を待つ鶴次郎だが…。

弐十手物語 23巻

女郎と心中した直参・藤枝の信念を無駄にしない為に、事件を闇に葬ろうとする幕府に歯向かう鶴次郎。遂には幕府は鬼輪番まで差し向けてきた!手詰まりになった鶴次郎が、最後に思いついた妙案とは…?

弐十手物語 24巻

風邪を引いて寝込んだ鶴次郎。すると摺吉からその事を聞いた女達が、続々と見舞いに訪れた。自分と同じタイプの男だった、かつての筆頭同心・柄見の寂しい死に様が気になって落ち着かない鶴次郎は、自分が実は女達を不幸にしているのではないかと悩む…。

弐十手物語 25巻

役人を翻弄させて、夜の大江戸を騒がせた「百虎」。その正体は、若くして主人に死なれ寂しく歳を重ねてきた武家の後家たちだった。鶴次郎に全てを打ち明け、闇に消えて行こうとする彼女たち。どうすればいいのか悩んだ鶴次郎は…?

弐十手物語 26巻

顔を自在に変えられるために、決め手となる証人がいない盗人・十面清吉。鶴次郎は同じ牢に入って、清吉に飢餓勝負を挑むが、先に音を上げてしまった。しかし、そのみっともなさが、清吉の心の琴線に触れる…。

弐十手物語 27巻

火の見やぐらに登って、降りられなくなった猫。誰も助けようとしない中、一人猫を助け降ろそうと、火の見やぐらに登った鶴次郎。しかし猫は用心して、鶴次郎に寄り付こうとしなかった。ところが下では、猫の飼い主である大店の夫婦が現われ、助けてくれれば20両出すと言ったために大騒ぎに…。

弐十手物語 28巻

ゆすりたかりが常習の「今戸のくも十」が、夜鷹に扮した男に殺された。犯人は地獄人形と呼ばれる殺し人一味。結城屋のお千代が殺害現場を目撃したらしいのだが、お千代は頑として否定した。実はお千代は結納を控えており、母親が夜鷹をしている事を知られてはまずかったのだ。

弐十手物語 29巻

札差の女将・清良井(きよい)をめぐって、柳生新蔭流目録の大久保と果し合いする事になった鶴次郎。全く勝ち目の無い相手に、鶴次郎は相打ち狙いの突きで立ち向かう。その決闘の只中に、清良井が飛び込んできて…。

弐十手物語 30巻

解いた自分の髪の毛で、鶴次郎を絞め殺そうとするお角。だが鶴次郎は抵抗せず、大津屋を殺した訳を問い質した。愛ゆえに、愛が憎しみに変わった故に殺したのではないかと…。鶴次郎の心に触れたお角は、素直に縛につくが……。