あらすじ作者・須賀原洋行が“うああ”に哲学を語る。「哲学は、青春の麻疹だと、あらためて思った」劇作家・平田オリザ氏推薦!! 巻末には平田氏の解説を収録。マルクスの「唯物論と社会主義」サルトルの「嘔吐」安部公房の「箱男」フーコーの「人間の終焉」カントの「天才と物自体」アリストテレスの「形相と質料」フッサールの「エポケー(判断停止)」ボーヴォワールの「性(ジェンダー)」養老孟司の「唯脳論」など全25篇。
哲学などでなされる思考実験をマンガにしたような短編集。概念を分かりやすく解説している回もあれば、不条理なショートショートのような回もある。こういう作品もっと読みたい。 連載されていたのは15年ほど前で、こんなのがモーニングに載っていたというのが驚きだが、度肝を抜かれた「現象学の理念」とも繋がっている。 扱われているテーマはかなり当時の思想状況を反映していて(というか自分が若かったから興味を持っていた)、2021年現在も全く古びていないどころか、今こそ本気で考えるべき問題も沢山ある。モデル14, 15の『ボーヴォーワールの「性」』(男女カップルがコールドスリープから目覚めたら国が分かれていて「男中心の国」「女中心の国」「男だけの国」「女だけの国」「男女平等の国」のどこに所属するかを決める)、モデル37の『哲学における「女」』(婚活を通して哲学者の女性に対する偏見を明らかにしていく)などは作者が表層的なリベラリズムやフェミニズムに厳しい理由が分かった気がした。