あらすじある女性に長い、長い間心を奪われながらも男性と偽装結婚した光とその旦那、晴天。そして想い人の華の三角関係を描く、第2巻。結婚し、街を離れていた華が戻ってくると知った光は朝からずっと駅で待っている。何時間も待ってようやく降りてきた華は光のことを忘れていたが…しかしそこから二人の関係は動き始める。ひと癖ある大人たちの青春群像劇。
美しい空と海の光景の中で、あまりにも不穏な序章が幕を開けた。 小1の頃の恋を引きずったまま、男性と結婚した女性。彼女が再会を願う歳上の女性は、離婚してふるさとに帰って来る。 再会する二人。しかし歳上の彼女は、想いを知ってか知らずか主人公を翻弄する。 酷い仕打ちに萎れる女性を、見つめる夫。感情を隠そうともしない妻と、何も知らないが妻が何かを抱えているのを気づいていそうな夫。二人が普通に生活する様子が既に破局を孕んでいる感覚に、心が落ち着かない。 そして翻弄する女。彼女は人の気持ちを弄ぶことしか頭にないのでは?と感じられる。驚くほどの「悪女」に、やはり心がざわつく。 広い田舎の光景に人物を配する作画は、主人公が持つ一眼レフで切り取ったような空気感がある。その美しさと、主人公夫婦の恋の切なさが私の読書を支える。 全く先の予想がつかない。これが百合エンドになるかどうかも。そもそもこの「ひとでなし」と、幸せな恋愛になるとは思えない。それでも主人公の、執着のような恋をかつての私の恋に重ねて、切実さを共有しながら追い続けたい。