あらすじランが愛し、そして、すべてを打ちこんだ中学野球!!だが、それとはちがう世界が、今、目の前に!!高校入学と共に、一歩、そしてまた一歩、新しい階段を登りはじめた旧稲葉中ナインたち!!さあ、つっ走れ、それぞれの青春をもとめて!!
プロ野球の人気凋落が叫ばれて久しいですが、あれはエンタメとしての職業野球がダメになってきているだけで、やっぱり野球は日本人の生活に根ざしたスポーツだと思います。高校野球の人気は不動だし、学校の授業や部活でもまだまだ廃れてはいないはず。漫画だってまだまだ少年誌にはいくつも連載されているのですから。で、少年野球漫画がなぜ廃れないかといえば、ひたむきに打ちこむ姿に青春を見るからではないでしょうか。この作品もそうです。のっけから廃部の危機にある稲葉中野球部。試合をすれば1点もとれずにコールド負けがあたりまえのへたっぴ集団が最後の試合に臨む。勝てなくてもいいからせめて笑われない試合をしようと思っても、やはり下手は下手。けれど泥まみれになりながら歯を食いしばってうまくなろうとする彼らの姿がここにはあります。この辺の感覚は自分も幼いころに味わったもの。ひたすらにひとつのことに没頭できる時代、うまくなることだけを考えた少年の日を描ききった良作だと思います。