周囲を山々に囲まれた、のどかで平和な国ワノクニ。そこには先のとがった大きな耳を持つ人々が静かに暮らしていた。ある日、ワノクニのチョボリに住むタロサクの家に、突然小さな子供が舞い込んでくる。名前はワンダル。なんとワンダルは、高度な文明を持ち自分たち以外の種族を皆殺しにするという、恐怖の種族マルミミ族だったのだ。さらに怒ると大きくなるとんでもないヤツだということも判明。町の人々は恐怖に打ち震えた。しかしワンダルは、その素直で明るい性格で人々を魅了し、タロサクと一緒に住むことになる。無理やり押しつけられたようで初めは疎ましく思っていたタロサクも、次第にワンダルをかけがえのない家族と思うように…。はたしてこれからの二人は!?
行方不明のワンダルを必死で捜すタロサクとオンマルは、ワンダルが闇の商人に囚われていることをつきとめる。やっとのこと救出したワンダルは、突然女の子に変身…春祭りの夜出会った少女は、なんとワンダルだったのだ。一体ワンダルは男なのか、女なのか…タロサクは困惑してしまう。そんな最中、マルミミ族がワンダルの婚約者・ジングルを連れてチョボリにやって来た。ニジノモト族は、成長期の状況によって、性別が決まることが判明する。ジングルとフロンは、ワンダルを説得するためにチョボリに住むことになるが、ワンダルにとって、どうすることが幸せなのか…タロサクの気持ちは複雑だった。そしてワンダルは10歳の誕生日を迎え、大人になる時が近づきつつあった。
クレーターの中にある国・ワノクニに住むタロサクのもとに、不思議な子供・ワンダルが突然現れた。ワンダルは大人になるまで性別の決まらない少数民族・ニジノモト族のわずかな生き残り。マルミミ族という種族に保護されていたが、自由を求めてチョボリに逃げてきたのだ。初めは他種族の子供が現れたことで動揺していたチョボリの人々も、ワンダルの素直で明るい性格に心を開き、ワンダルを大事な仲間と認めていく。タロサクもかわいい同居人としてしか見ていなかったのだが、感情が高ぶると一時的に少女に変身するワンダルに、次第に心ひかれていった。やがてワンダルの婚約者・ジングルが現れ、二人が引き離されそうになった時、タロサクはワンダルへの正直な気持ちに気がつく。そしてワンダルも故郷には帰らず、タロサクと共に生きることを選んだ。こうして二人は、三つの種族の架け橋となったのだが……。