千年前、知らず人魚の肉を口にし、老いぬまま独りさすらう運命に囚われた香坂芳典。癒しの力を宿したせいで幾度も狙われ、窮地に陥りながらも、彼はできる限り救いの手を差し伸べ、まっとうに生きてきた。だが、対面した『その患者』が、芳典を驚愕させ、善悪の判断を狂わせる。神原柾木──彼は、芳典が今もなお愛する初恋相手に瓜二つにもかかわらず、芳典を徹底的に侮蔑し、何より生きる意志がなかった。反発した芳典は、柾木と無理やり繋がり、その命を助けてしまうが……。──柾木は生まれ変わりなのか。過度の官能が織り成す、悠久の恋物語!