あらすじ飛び降りの現場に偶然居合わせた男とのほんの少しの時間が、彼女の“何か”を動かす。……「太陽のイヂワル」/ヒトの“賞味期限”を決めるのは誰?私の価値を決めるのは誰?……「ヒトノ賞味期限」/人は見かけで9割決まる。完璧に武装するキャリアウーマンの心の闇は……「奇妙な遺伝子」/自分の好きな色で好きなように絵が描きたかった沙里(さり)だけど……「虹色のヒラメ」――抱きしめたら苦い味がした。4人の女性の4つの青春譜。
青年誌に掲載されたものだからか内容的にキレッキレな短編ばかりでした。特に「ヒトノ賞味期限」という話がいい。主人公には憧れの幼馴染みがいた。名前は亜砂子ちゃん。小さい頃から美人でいじめられっ子にも冷静に言い返すような頭のいい子だったけど、高校生になって普通の男の子に夢中になっている姿を見て主人公はガッカリしてしまう。当時のことを大人になって思い返して「人の賞味期限は他の誰かに勝手に心の奥底で決められてしまう」と感じたことを小説に書いたところ入選し、それを読んだ亜砂子ちゃんと再会することになり…。ちょうど人間の残酷さについて描かれた話を読みたいと思ってたのでいい作品に出会えてラッキーでした。