あらすじ桜ヶ森高校・社交ダンス部の春間ききは、後輩の鳥羽見みちるとペアを組み、お互い「自分が望む姿で踊ろう」と約束を交わした。身長の高いパートナー(女役)のききと、小柄なリーダー(男役)のみちる。ペアとして踏み出したばかりの二人は市民大会に出場することになるが、当日のみちるは極度の緊張から体調を崩してしまう。一方、ききとペアを解消した合歓木紫苑は新しくペアを組んだ藤園モナに、「ききの邪魔になるから大会には出ない」と告げ──
女子高の社交ダンス部で、背が高い為に女役=パートナーを諦めたい二年生と、背が低くても男役=リーダーをやりたい一年生が出会う物語。全体的に「在りたい自分」に向き合い、実現してゆく困難な道が描かれる。 本当はパートナーをやりたい二年生の苦しみ、可愛いものが大好きなのに高身長ゆえ諦める彼女の無気力さと、やりたい事がブレない一年生との衝突は歯痒い。 しかし、本質的にやりたい事は噛み合っている二人。そして、ダンスが大好きな二人。 生まれ持った特徴だけで役割が決められるのだとしたら、こんなに息の詰まる事はない。二人は、こう在りたいというセルフイメージを強く持っている。それを周囲の目や競技特性を克服して、強い意志で実現できるか? 絵が美麗で愛らしい本作だが、実はどんなスポーツ物よりも「熱い」作品になるのではないだろうか?