最初に出会った時は、その圧倒的なデザインセンス・線の美しさに惚れ込みました。 作画を担当しているOKAMAさんは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』で使徒やセントラルドグマなどのデザインもされている方。 その緻密な筆致により描かれる服飾や背景美術が、唯一無二の世界観を生み出しています。 独特のアーティスティックなセンスが一コマ一コマに行き届いて、画集のような楽しみ方もできる漫画です。個人的には、背景を眺めているだけでも十分に楽しい作品。 きっとこの世界が好きだけれど未読という人は、まだ世の中に一杯いる筈! 是非ともそういった人に届いて欲しいと願います。 又、キャラクターもとても魅力的。 元々女の子の可愛さに定評のある方で、事実可愛いのです。 でも、それだけではありません。格好良いおっさんだって沢山出て来ます。 感情が迸ってくるようなキャラの表情も良いですし、躍動感溢れる構図は画面の外まで突き抜けて来るかのよう。 そして、ビジュアル面のみならず物語自体も実に面白いです! 脚本を担当するのは、今季では『東京レイヴンズ』『サムライフラメンコ』に携わっていた倉田英之さん。 『R.O.D』で紙を用いて戦う少女を描いていましたが、今作では服で戦う少女を巧みに熱く描きます。 ここで、ちょっとばかりその独特な作品世界を説明しましょう。 ナノテクノロジーが極限まで進化し、産業革命ならぬ「繊」業革命が起きた時代。 ケーブルは繊維に、基板は布になり、コンピューターは服と一体化。 世間では服を作る「デザイナー」と、服を着こなす「モデル」が脚光を浴びる中、生まれてすぐ捨てられた双子、デザイナーの少年ファーガスとモデルの少女ジェニファーを中心に物語は進みます。 この世界のモデルは、デザイナーの作った服の驚くような機能を駆使してバトルを行う存在でもあります。モデル同士のバトルは人気の競技であり娯楽。 生き別れの双子が再会し、ファーガスが作った服をジェニファーが纏って戦っていくという大筋です。 そして、物語が進むにつれ話はどんどんスケールアップ。 それこそキルラキルばりに、星をも巻き込む物語になって行きます。 ユニークな要素が沢山詰まった作品ですが、大筋を辿れば実は正統派ビルドゥングスロマン。 少年と少女の成長、人と人との暖かい絆、熱い絆を感じられるようになっています。 この部分がしっかり創られているからこそ、私としても多くの人に呼んで貰いたいと思うのです。 『クロスロオド』が素晴らしいのは、全11巻で11巻が一番面白いということ。 序盤はもしかしたら乗り切れないものを感じるかもしれません。 が、尻上がりに面白くなっていきますので安心して下さい。 とりあえず、まずは4巻まで読んでみるのが良いでしょう。 最初は三流・二流モデル達がメインですが、トップモデルやトップデザイナー達のキャラ立ちぶりは凄まじいです。 中でもメイ様と呼ばれるモデルは非常にカリスマ性が高く、格好良いです。 『クロスロオド』自体名言が頻出する作品ですが、特にメイ様は名言製造機と呼んでも良いほど。 少々引用すると…… > どこで咲こうと花の美しさは変わらないよ   > シャクナゲの花言葉は『威厳』『荘厳』君たちにはないものだ  > そしてもう一つは『危険』 君たちが今味わっているものだ   > 隣で世界が滅亡しても気づかない鬼の集中モードにいつでも入れるように   > 風まかせかい? ……違うね  > 勝利の風は自分で吹かせるものだっ! ああ、メイ様格好良いィッ! ちなみに、一番好きな名言はここでは伏せておくので、是非実際に読んで昂って下さい。 一部キャラの激しい狂気や、ページを捲った次の瞬間に起きる衝撃という意味では『HUNTER×HUNTER』を思い出す位の内容です。 ジェットコースター的な展開が好きな方にもとてもお薦めです。 『クロスロオド』の華やかな世界と凄絶なバトルシーンも、アニメで観てみたいなぁ…… この精緻さを動画でやるのは非常に大変だと思いますが、その分創り上げてしまえばアニメ史に刻まれる作品になると思うので、こっそり期待しています。
兎来栄寿
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