あらすじ

ライバル会社の10年前の宣伝コピーを使ってショージを大失敗させようとコピーライターの中谷が策謀をめぐらすが、新聞掲載の前日にその陰謀を亜紀から知らされてショージは危ういところで難をのがれた。神戸ロケの最後の夜、クライアントの涼子と代理店担当者のショージは仲間をまいて大阪で会う約束をするが、約束の道頓堀(どうとんぼり)の戎(えびす)橋で待つショージの前に現れたのは、亜紀。「やはり行けない」という涼子のメッセージを持ってきたのだ。その夜、二人は結ばれ、翌朝、亜紀は乳房に残るショージのキスの跡に幸せを感じながらも不安な思いにとらわれる。一方、涼子は夫が部下と不倫していることに気づき、一人香港へ……。
抱きしめたい(1)

東京の青山にある小さな広告会社SJ広告に入社して1年半。ショージ(東海林)はあこがれの女性、高校2年の時の教育実習生、涼子先生に再会した。海辺でのたった一度だけの関係から5年を経てふたたびショージの前に現れた彼女の指には結婚リングが。夫は親会社の大手広告代理店、白電堂のエリート課長だった。それでも涼子を追い求めるショージは、そんなショージに恋いこがれる同僚の亜紀の気持ちに気づかない……。ビートルズの名曲「抱きしめたい」をタイトルに、高梨みどりが広告業界を舞台に描くラブストリーの傑作シリーズ!

抱きしめたい(2)

予算8000万円の大型企画に加わったショージは売れっ子お笑いタレント、ミッションズの植井の起用を提案。交渉に亜紀とともに出向いたショージは、そこで事件を引き起こしてしまう。亜紀へのセクハラまがいの行為に怒ったショージが植井を殴ってしまったのだ。ショージは営業企画をはずされ、雑用係に。傷心のショージを救おうと植井との再交渉に出向いた亜紀。植井から出演オーケーの返答が寄せられ、さらにショージの復帰の希望まで。そんな異変にSJ社内ではある噂がささやかれだした。亜紀は体で契約をとった……。

抱きしめたい(3)

ライバル会社の10年前の宣伝コピーを使ってショージを大失敗させようとコピーライターの中谷が策謀をめぐらすが、新聞掲載の前日にその陰謀を亜紀から知らされてショージは危ういところで難をのがれた。神戸ロケの最後の夜、クライアントの涼子と代理店担当者のショージは仲間をまいて大阪で会う約束をするが、約束の道頓堀(どうとんぼり)の戎(えびす)橋で待つショージの前に現れたのは、亜紀。「やはり行けない」という涼子のメッセージを持ってきたのだ。その夜、二人は結ばれ、翌朝、亜紀は乳房に残るショージのキスの跡に幸せを感じながらも不安な思いにとらわれる。一方、涼子は夫が部下と不倫していることに気づき、一人香港へ……。

抱きしめたい(4)

ショージへの想いを胸に抱きながら香港から夫の元に戻った涼子。会うことのできない涼子と亜紀との間で揺れ動くショージ。亜紀の心の隙間に、アミューズメントパークプロジェクトをともに担当する空間デザイナーの江口がつけいっていく。打合せを理由に自分の部屋に亜紀を誘った江口は飲み物に睡眠薬を混入。二子玉川のマンションに連れ込まれる亜紀を目撃した涼子からの知らせで、江口の部屋に駆けつけたショージは眠らされた亜紀を救い出す。涼子への想いを断ち切ってショージはアミューズメントパークプロジェクトに取り組むが、秘密裏に進むその大計画が新聞にスクープされ、プロジェクトは中止に追い込まれてしまう。誰が機密を漏らしたのか。想い出の海岸で偶然出会った涼子と語り合って企画のヒントを得たショージの胸に涼子への疑念が芽生える……。

抱きしめたい(5)

親会社の白電堂エリート課長である涼子の夫にすべてを打ち明けたショージは涼子をさらって京都へ。新京極の旅館で一夜をともにした二人のもとに亜紀が現れた。清水寺を歩きながら、亜紀は二人がニューヨーク駐在に大抜擢されたという朗報を告げる。しかし離婚する涼子と一からやり直す決意のショージは、涼子の夫の差し金によるNY栄転を断る。三日後にNYに発つという亜紀とショージが涼子の待つ旅館に戻ったが、そこに涼子の姿はなかった……。衝撃のラストシーンが待つ高梨みどりの傑作ラブストーリー「抱きしめたい」完結編。他に読み切り短編「夏の終りの蜃気楼」「コンビニ★ベティング」「ゲーセンの達人」「きっこーまん」を収録。