ヨットへの情熱に燃える風間陣(かざま・じん)は、村の天才少年、正助(しょうすけ)が作った手作りヨットで葉浦マリーナ開港記念ヨットレース・少年ディンギーの部に出場する。天性の勘でさっそうと風を捉え、並みいる優勝候補を引き離す陣。勝利は目前と思われたその時、強い雷雨が到来し、大会は中止されてしまう。自然の力の前にはなす術もなく、意気消沈する陣に声をかけたのは、日本セーリング界の宝と言われた田丸健吾(たまる・けんご)だった。余命いくばくもない田丸は、残り少ない自身の時間のすべてを陣との特訓に費やす。「好きなんです……陣くんが……」(田丸健吾)