特に特色もなく、無気力な青年・蝶野。彼の宝物は…『昆虫標本』だった。しかし、ある日、バイト先から帰ると暮らしていたアパートが火事で燃え、標本をあっという間に失ってしまう。途方に暮れていた蝶野だったが、そこにズカズカとパーソナルスペースに入り込んでくる男がいた。“草薙出雲”。彼は昆虫学者として活動しており、蝶野が参考にしている本の著者だった。そんな彼の自宅に宿泊することになった蝶野は、出雲の娘だという色白の美少女・當子と出会う。――美しくも狂わしい少女の正体は? ※本作品は「蠱毒の家(1)~(6)」までの合本版となっております。重複購入にお気を付けください
電子書籍の新刊をチェックしていた時に見つけて、表紙に惹かれて購入。出版社も「コミディア」という聞いたことないけどちょっと引っかかる名前だったので調べてみると、「モッシュ!」という昨年できたレーベルの作品らしい。 https://mosh-comic.com/ なのであまり期待せずに読み始めたんだけど、これがとんでもなく面白い。 昆虫標本の収集が趣味の青年・蝶野が火事でその標本を自宅もろとも失ってしまい途方に暮れていると、そこに手を差し伸べてきた一人の男、昆虫学者の草薙出雲。草薙の厚意で彼が一人娘の當子と住まう洋館に宿泊させてもらえることになった蝶野だが、そこで蝶野は當子のある"秘密"を知ってしまう。 そこまでの展開はホラーっぽいんだけど、娘の秘密を知られた草薙は、加藤に危害を加えようとはせず、"共に暮らす"ことを提案する。こうして"秘密"を共有した3人の"奇妙な同居生活"が始まる。 まず、當子の正体の"秘密"が斬新で面白くて、ともすればこの設定だけで短編のホラーにできるんじゃないかと思う。さらにそこから、草薙のことをしつこく嗅ぎまわる警察官、草薙の助手をしていたが行方不明になった姉を探す少女と、サスペンスじみた人間関係が徐々に見えてきて、當子の"秘密"自体は1巻途中で明かされているのにどんどん謎が深まっていく感覚を覚える。加えて蝶野を始末せずに"共に暮らす"ことを選んだ草薙の真意という謎。おそらくそれらが全て複雑に絡んで結末の1点に収束するであろうと思うと、早く続きが読みたくて仕方ない。 1巻まで読了