あらすじ

まことの父、達夫と亡き母の由子。二人の出会いは、達夫の一目惚れから始まりました。義友の後押しもあり、少しずつ繋がっていく二人の心。そして由子にとっても、達夫は特別な存在になっていき──。まことの知らない、父と母が大切に紡いだ時間が、穏やかに描かれます。
ぎんぎつね(1)

ここは、とある町の小さな稲荷神社。十五代目跡取・冴木まことは、不思議な能力を持つ神使の狐・銀太郎が見えるのです。ですが、このお狐様、口は悪いしヤル気もない。おせっかいな性格のまことは、その能力を人のために役立てようといたしますが…。さて、神様の杜で、今日は何が起こりますやら――

ぎんぎつね(2)

まことと銀太郎の口ゲンカ以外はいつも穏やかな時が流れる冴木神社に、この度、まことと同じ年の少年・神尾悟が居候として訪れることに。知人の神社の息子で、跡取りでもある悟は、神使の狐・ハルを連れてやって来ますが、なぜか早々にハルを実家へ追い返そうとします。何やら込み入った事情がありそうな二人ですが――

ぎんぎつね(3)

悟とハルが加わり、ちょっと賑やかになった冴木神社に、半年の穢れを落とす大祭「夏越の祓」が近づいてまいります。その準備で大わらわのまこと達を助けようと様々な人が集まり、いつになく神社は活気づいてきます。さて、当日はどんな一日になりますやら――

ぎんぎつね(4)

高校2年生のまことにも、将来の進路を話し合う三者面談が間近に迫ってきました。おぼろげに冴木神社を継ぐ道を考えていたまこと。しかし、小さい頃に銀太郎に伝えた言葉を思い出しまことは自分が進みたい道を、はっきりと意識します。そして、ついにやってきた三者面談当日は、前代未聞の大珍事で幕を開けることになり――

ぎんぎつね(5)

剣道部で団体戦のインターハイメンバーに選ばれた悟。気負って空回りしながらも、試行錯誤する中で大切なことに気づかされてゆきます。そしていつもの面々と共に、海辺の神社で意外な神使と出会ったり、お盆のお祭りで盛り上がってみたり…とまこと、悟、銀太郎、ハルたちはいろんなことを感じとりながら元気にすごしております。夏真っ盛りの冴木神社は、今日もにぎやかです――

ぎんぎつね(6)

参拝客の依頼で御朱印を書くことになり、悪戦苦闘しつつも得難い経験をしたり、義友のかつての奉職先・幸多神宮を訪れ鶏の神使と出会ったりと、まことは高校2年生の夏休みを有意義に過ごします。そして迎えた新学期。悟にちょっと困った出来事が…!?冴木神社の季節は夏から秋へと移りゆきますが皆、変わらず健やかににぎやかに過ごしております──

ぎんぎつね(7)

面倒臭がる銀太郎を誘い、出かけた道すがら、まことは生まれ育った町、周囲の友人・知人たちを思うのでした。仕事で迷いを抱える吉住さん、次期生徒会長を打診され当惑する藤村君、両親の墓参りに出かけ、久々に叔父と再会した悟…。皆を結ぶ神社の大切さをあらためて感じたまことは、大切な決意を銀太郎に伝えます。今日も冴木神社では、皆がそれぞれの“縁”を感じながら過ごしております──

ぎんぎつね(8)

部活のサボり中に偶然出会ったまことから、彼女や悟がしっかりと将来を見据えていることを知り、情けなさで自分を顧みる小杉。体育祭や例大祭の準備で浮き足立つ、皆の楽しい雰囲気に馴染めず戸惑いを覚える悟。そして、新たな神使との出会いや、義友とのやりとりから神使と人の在り方、さらには神主についてあらためて見つめ直すまこと──。冴木神社では各々がそれぞれの想いや悩みに向き合いながら、確かな足取りで前へ進んでいます──

ぎんぎつね(9)

鉄郎に加えて熊野から八咫烏の神使・那智もやって来て、いつになくにぎやかな冴木神社。一方、泰介は長年想い続けてきた女性とちょっと切ない再会をします。そんな中、まことたちは修学旅行で九州へ。太宰府天満宮で、とても個性的な神使たちと得難い経験をし、悟にはある心境の変化が生まれ…!?その他にも達夫と十子が初めて顔を合わせたり、新たな出会いや別れが今日も皆を成長させます──

ぎんぎつね(10)

例大祭が近づき、皆で準備に取りかかる中、氏子さんたちから母の昔話を聞いたまことは、両親が出会ったご縁に思いを馳せます。芽生え始めたまことへの気持ちに戸惑う悟、その様子に不安をおぼえる小杉、達夫と十子の親しげな雰囲気に動揺を隠せない日輪子……と、祭りを前に、冴木神社にはなんだか複雑な想いが集っているようでございます──

ぎんぎつね(11)

まことの父、達夫と亡き母の由子。二人の出会いは、達夫の一目惚れから始まりました。義友の後押しもあり、少しずつ繋がっていく二人の心。そして由子にとっても、達夫は特別な存在になっていき──。まことの知らない、父と母が大切に紡いだ時間が、穏やかに描かれます。

ぎんぎつね(12)

神主になりたい、という想いを由子の父・武光に伝えるものの、突き返されてしまった達夫。豊倉酒造の跡取りとして背負うものを顧みず、自分の事だけしか考えていなかった事を反省します。そして、悩みぬいた末に抱いたある決意を胸に、達夫は再び武光と向き合うのでした──。まことの両親が育んだ“縁”はいくつもの季節を重ね、引き継がれて交わり、また今年も例大祭が始まります。

ぎんぎつね(13)

例大祭が終わり、日常が戻った冴木神社にまことの母・由子の命日が近づきます。幼いまことを残してこの世を去った由子もまた、冴木神社の十四代目として銀太郎を視ることができました。そして「神眼」は、まことへと受け継がれ、銀太郎との出会いが訪れます。母から娘へ、過去から現在へ──大切に紡がれてきた想いがいまも冴木神社を包んでいます。

ぎんぎつね(14)

まだ幼いまことと達夫が暮らす冴木神社に、義友が転がり込んで始まった三人暮らし。見えないお友達「ぎんたろー」のことを話すまことの姿が、義友にはかつての由子の姿と重なって見えます。達夫は宮司として、父として大忙しの中、今はもう居ない大切な人たちとの思い出が詰まった、冴木神社を守り続けてきました。おだやかで迷いのないその生き方にふれ、義友には新しい気持ちが芽生え始めます。

ぎんぎつね(15)

季節はめぐり、冬がやって来ました。例大祭の頃から感じてきた悟の変化と、自分の気持ちに戸惑い気味のまことは、つい悟のことを意識してしまうのでした。一方の悟も、小杉くんからまこととの恋を応援するよう頼まれてしまいます。父・達夫の付き添いで、國學院大學の見学に東京・渋谷へ行くことになったまことと悟。まことは“初めて”の気持ちを抱えたまま、渋谷の街を悟と並んで歩くのでした――。

ぎんぎつね 16巻

まことと悟が2人で渋谷の街を歩いた日。芽生え始めた「気持ち」に戸惑っていたのは、まことだけではなかったようです。小杉くんとの友情と、まことへの想い――どちらも初めてな気持ちの間で、悟の心は今までにないほど揺れ動くのでした。一方、小杉くんはまこととの距離を縮めようと神道の本を読み、神社に足繁く通い始めます。そんな三人の不器用な様子が、銀太郎には在りし日の光景と重なって見えるようで…?

ぎんぎつね 17巻

まことへの想いに気づいてしまった悟は、初めての気持ちに戸惑いを隠せない様子。悟の変化に、気が気ではないハルの姿も…。そんな悟の前に、実家にいるはずの双子のいとこ、魁と蓮が突然現れて空気は一変します。突然の二人の来訪で、実家にいた頃の辛い記憶が蘇り、悟は動揺してしまいます。神使が視えることの孤独、周囲との深い溝…一人で抱え込もうとする悟に対し、まことはどう寄り添えるのでしょうか――

ぎんぎつね 18巻

“目に見えないもの”があるかもしれない――悟は叔母・紗也加とのわだかまりを解くために、まこと、銀太郎、ハルと実家の神尾神社を訪れます。将来のことや、代々受け継がれてきた神社への思いを語り合う悟と紗也加ですが…? 一方、まことは神尾神社の神使・乙松の言葉で、改めて“視える”ことの意味に思いを馳せます。銀太郎と共に幾多の“ご縁”を繋いできたまこと。はるか昔から続く、人と神さまの使いの物語はきっとこれからも――。