あらすじ

議事堂内にロケットが隠されていたことを感付いた市民が、武器を携え、まさに出発の時を迎えていたアメリカ合衆国のロケットを乗っ取ってしまう。そして、子供選びに始まる長く苦しい準備期間をあざわらうかのように、空へと飛び立ってしまうロケット。時を同じくして各国のロケットが飛び立つのだが、やはり各国ともロケットに乗り込んだのは大半が暴徒と化した市民だった。
14歳 1巻

もはや地上はビルと車で埋め尽くされ、地下都市に人工の自然環境を求めるようになった近未来の東京。クラスメートに占い代をカンパしてもらった女子中学生ヨッコは、ミッチとともに占い師のもとを訪れた。実は、ヨッコのおなかの中にはもうひとつの命が宿り始めていたのだ。ヨッコのおなかに手をかざした途端、占い師は口から恐ろしい形相をしたエクトプラズムを吐き出し…。地球が終焉を迎える近未来――バイオ鳥肉のササミ細胞から誕生した天才科学者・チキン・ジョージを中心に、地球が滅亡していく恐怖と人類の「勇気・正義・愛・生命力」を描いた楳図ワールドの集大成的作品。自然を無視し、無分別に進化発展を続ける我々現代人に警鐘を鳴らす!

14歳 2巻

自ら名前を名乗り、コンピュータで地球上のありとあらゆることを学んだチキン・ジョージは、自分が人間のために絶滅していった動物たちを代表して生まれてきたものだと認識し、エレベータの張り巡らされた地下都市の動物園へと変装姿で向かう。そこで見たものは…。

14歳 3巻

海で遭難し、ゴミの島に漂着した少年ミッキーは、目の前に立つ鶏に「あなた死ぬ!!」と言われ頭を混乱させる。ゴミの中に地下へと続く階段を見つけ、足を踏み入れたミッキーは地下室に閉じ込められてしまう。その地下室の檻では絶滅したはずの馬や犬が飼われ、奥の部屋ではチキン・ジョージと言葉を話す鶏ルーシーが待ち受けていた。逃げようと試みたミッキーはロボットに捕まり、気がついたときには研究室の檻の中に立たされていた…。

14歳(4)

チキン・ジョージの地下研究室から逃げ出そうとするミッキーは、コンピュータの急所を壊し、出口まで辿りつこうとするがロボットに邪魔をされ、チキン・ジョージの元へと戻ってきてしまう。煙の上がる研究室内にルーシーとともに佇むチキン・ジョージは、「わたし達は人間にさよならを告げて、よそへ行く決心をしたよ。さらば、いつかまた会おう。そして、最後に、人間が慈愛の心を持ち合わせていることを祈る」と言い残し煙とともに姿を消してしまう。その瞬間、ミッキーも地上へと投げ出され、気がつくとゴミの島でひとり茫然としていた…。

14歳(5)

経済界の最高位(グランド・マスター)と呼ばれるローズへのインタビューが行われている。記者からの質問を受けている途中、左手だけがしわだらけになるローズ。徐々にひたいと右手にも深いしわが刻まれたローズは会場から立ち去り、部下らに若返りの薬を持ってこさせるが、その薬はほんの少ししか残っていなかった。みるみるうちに全身しわだらけになったローズは…。

14歳(6)

破水してしまったヨッコは、ミチに付き添われ体育館で出産するが、生まれ出た子供は緑色をしていた。2人は驚き……とミチはきよらが生まれた時のことを回想しながらヨッコとともに計以子の家まで逃げてきたが、すでに計以子は追っ手に殺されていた。計以子の家に隠れていた追っ手はさらに追いかけようとするが、ミチが体を張ってヨッコときよらを逃がす。ヨッコはきよらを抱いたまま下水道へと逃げ込むのだが、途中大量の血をはいてしまい神さまに助けを乞う。すると、なぜか地下道の壁にドアが現れ…。

14歳(7)

地球上の全植物が枯れ、地球からの脱出準備を始めたチキン・ジョージとルーシー。チキン・ジョージは動物たちが植物なしでも生きて行けるよう研究室に残っていたきよらの葉緑体を各動物に移植することを決意し、ルーシーのとさかで実験してみたが拒絶反応もないことがわかる。

14歳(8)

チキン・ジョージの研究所を訪れ、彼を愛していると告げるバーバラ。任務に忠実なSOS隊員は、任務通りにどんな人でも愛せるのだった。ルーシーの言われるままに、チキン・ジョージは研究室の空間からバーバラを彼女のプライベートルームへと転送するのだが…。

14歳(9)

岬総理を夥しい数の虫が襲ってきた。虫たちは互いに争いを始めていたが、すぐさま姿を消してしまった。各国首脳が集まり、アイスランドで行われることになった不老不死についての地球会議。実は、憂うべき地球の未来についてが話し合われていた。長い会議が終わり、涙を流しながら議場を後にした岬総理が帰路の飛行機の中で側近たちに語ったその会議の内容は…。

14歳(10)

自らの体を人工子宮器に変え、クローンを成育させたローズ。不老不死の薬として、自分のクローンを殺して血を吸おうと試みた。ドロドロに溶けたクローンの死体は、突如不気味な笑い声を上げながら再生しはじめたのだが…。

14歳(11)

国会議事堂に集まった3歳以下の子どもたちに宇宙酔いテストが行なわれた。場合によっては生きて帰って来られない可能性もあるこのテストに、岬総理の息子タロウがまず先陣を切って挑んだ。次々と子どもたちがテスト・トンネルに向かうなか、正式に呼びだされていなかったきよらも勝手に飛び出していくのだった。

14歳(12)

東京ピラミッド内の「もの」製造工場に呼びだされたきよらは、飛行機の墜落で焼死した大統領の息子アメリカに生まれ変わることを決意する。巨大な遠心分離機に入れられたきよらは、瞬く間に帯のように細胞単位で分離され、アメリカの細胞配列へと並び替えられる。そして、アメリカの髪の毛との結合。徐々に人間の体形を成していった細胞は、紛れもなくアメリカの姿に生まれ変わる。

14歳(13)

とうとう謎のUFO群は地球上空へと到達し、空を覆う。UFOから現れた天女のようにも見える宇宙人たちは、必死にUFOへと救いを呼びかける自然環境保護クラブのメンバー、佐和田トシエのもとへと真っ先に下りてくる。「わたし達を救いに来てくださったのですね!!」と歓喜するトシエだったが…。

14歳(14)

学校へと逃げ込んだヨッコのクラスメイトらが次々と宇宙人に襲われる。地下エレベータを転げ落ちたきよらの細胞入りペンダントを追って地下墓場まできてしまったヨッコ。エレベータを上った先で閉じていたシャッターを開けてみると、そこには宇宙人が人々を襲っている地獄のような世界が広がっていた。そしてヨッコも宇宙人に襲われかけるが…。

14歳(15)

議事堂内にロケットが隠されていたことを感付いた市民が、武器を携え、まさに出発の時を迎えていたアメリカ合衆国のロケットを乗っ取ってしまう。そして、子供選びに始まる長く苦しい準備期間をあざわらうかのように、空へと飛び立ってしまうロケット。時を同じくして各国のロケットが飛び立つのだが、やはり各国ともロケットに乗り込んだのは大半が暴徒と化した市民だった。

14歳(16)

チラノザウルス号の指令室のスクリーンに、先発した各国のロケットが木星の引力につかまっている姿が映しだされた。木星の衛星に衝突する直前、ロケットから各々小型ロケットが脱出。チラノザウルス号を発光させれば、その存在に気づいて小型ロケットがアメリカたちのもとへ向かってくるだろうが、暴徒と化した大人たちが乗っているかもしれない。小型ロケットを救出するか、否か…。アメリカと「もの」が物議を醸している最中、誤ってエリザベスが発光ボタンを押してしまうのだった。

14歳(17)

アメリカが「もの」に踏み潰されそうになった瞬間、突如指令室が「もの」を攻撃し始めた。自分の思うとおりにならなかった苛立ちから、のばらはアメリカを他の子供たちと一緒に地下室に閉じ込めてしまうよう「もの」に命令する。閉じ込められてしまった子供たちは、地下室の奥へと歩いていくのだが、そこには…。

14歳(18)

立場を捨て、ひとりの「父」としてアメリカに会いたいと願っていた大統領は、反乱を起こした「もの」がアメリカを襲おうとしていることを知り、ついに砂漠地下の指令室からチラノザウルス号への移動を試みる。しかし、地球との距離が離れ過ぎてしまったために移動は不可能になってしまっていた。

14歳(19)

炎に包まれたチキン・ジョージの足跡が、指令室でチキン・ジョージの本体のありかを探しているドッペルのもとへと向かっていく。憎しみをパワーの源とするチキン・ジョージの足跡を実体化させるために、アメリカが「お前は生き返ったんだ!!」と叫びかけ彼の心を動揺させた。途端、チキン・ジョージは姿を現わし、炎を吹きながらアメリカたちを襲い始めた。

14歳(20)

心やさしいエリザベスの提案で子供たちはチキン・ジョージの死体をチキンヘッドの脇に埋葬し、これからはチキンヘッドを自分たちの守り神とすることに決めた。安心して3日間も眠り続けたアメリカは目を覚し、ドッペルの研究で地球の破滅が宇宙に伝染していることをカトリーヌから知らされた…。楳図ワールドの集大成的作品、最終巻!