京極夏彦といえば妖怪かなと思うけど別の人も書いてる通り妖怪は出てこない。 近未来SFのような世界観で、人類が一度絶滅しかけたパンデミック後の世界で、全ては「端末」で管理されている。主人公とその仲間はJKなのだがみんな設定が特徴的で、THE平凡といったキャラがいないのもまたこの状況下だからなのかなんなのか。 資産家の娘、IQ220の天才で変人、デフォルメ模写能力?が異常に高い娘や、異常な身体能力を持つ影のある娘などなど、特徴が憶えやすくなんとなく「少年探偵団」を思わせるところがあるかも。京極さんらしいわけではないけど。 別作品でもコメントを書いて本作を知ったんだけど、樋口彰彦先生の線が好きなのでとても読みやすい。KADOKAWAっぽいというかなんというか、余白の使い方やコマ割りなんかも洗練されているように感じる。 ルー=ガルー というのが 人食い狼 ということなのだそうだけど、3巻で完結ということで一気読みがしやすく良いと思う。
こんなふうに描かれると、榎木津って漫画チックなキャラということがよくわかりますね。原作は京極堂が活躍する「百鬼夜行シリーズ」のスピンオフで、名探偵・榎木津が主役の短編シリーズ。「百鬼夜行」がどっしりとした本格推理ドラマなのに対し、こちらはライトテイスト。そしてこの漫画版はさらにコミカル度がパワーアップしていて肩ひじ張らずに楽しめます。元子爵の父親からの依頼で砧青磁を探すことに…ということで、瓶や壺の分類など小難しい話もあるにはありますが、メインキャラの個性が思っていた以上に強調されていて、それを見ていると細かい話はどうでもよくなります。しょっぱなから「このぐぶぐぶ魔人!!」と言い放ってる榎木津をはじめ、へらへらしている益田君、眼を合わせたら殴られそうな木場刑事、まるで置きものみたいな古物商の今川。そして京極堂は額にしわを寄せて口をひん曲げ、不機嫌さを絵に描いたような感じ。そんな連中がわいわいと事件を片づける。名探偵とその下僕による「これぞ探偵活劇」という雰囲気がたまらないです。
本格小説のコミカライズはたいていがっかりさせられます。なので本作を読むにあたっては少々慎重になりました。なにせ京極夏彦の傑作が原作。どうなることやらと思っていましたが…意外とうまくはまりました。事故で重傷を負い治療中の少女が忽然と消えた。事件の背後に絡みつく憑き物を落とすため、京極堂こと中禅寺秋彦が重い腰を上げる…と、端折ればこんな話ですが、本来は相当入り組んだストーリー。これを、ひと目見ればわかる漫画の利点を生かして、うまくまとめています。また描写で感心したのが、探偵・榎木津礼二郎の容姿。原作では超のつく美男子で、いまひとつイメージしにくかったのですが、なるほど少女漫画的なアプローチだとしっくりくるなぁと目からうろこでした。さらに思い切りの良さにびっくりしたのが、全5巻の3巻で犯人をばらしてしまうこと。で、残りの2巻はまるまる憑きもの落とし。読者の興味を冷ますことなく、ちゃんと見せ場へ導いてしかも枚数かけている。単純な推理小説じゃないこと、わかっておりますな。
京極夏彦先生まさかの女子高生がSF(謎のキャッチコピーw)。一見普通なJKがハッキングするやら火器ぶっ放すやら、ディストピア感が最高やら、京極堂とはまた全然違う方向性の傑作。 漫画版はキャラの動きや表情が豊かでかわいいです。話がかなりシリアスなので、読み易くて漫画としてはこれで丁度いいかなと感じました。あとこれ伊藤計劃の「ハーモニー」でも思ったんですが、文章力が素晴らしい小説と高い画力のコミカライズが合わさると、読みながら脳内で想像してた通りの世界が紙上に広がってて感動しますね。
京極夏彦といえば妖怪かなと思うけど別の人も書いてる通り妖怪は出てこない。 近未来SFのような世界観で、人類が一度絶滅しかけたパンデミック後の世界で、全ては「端末」で管理されている。主人公とその仲間はJKなのだがみんな設定が特徴的で、THE平凡といったキャラがいないのもまたこの状況下だからなのかなんなのか。 資産家の娘、IQ220の天才で変人、デフォルメ模写能力?が異常に高い娘や、異常な身体能力を持つ影のある娘などなど、特徴が憶えやすくなんとなく「少年探偵団」を思わせるところがあるかも。京極さんらしいわけではないけど。 別作品でもコメントを書いて本作を知ったんだけど、樋口彰彦先生の線が好きなのでとても読みやすい。KADOKAWAっぽいというかなんというか、余白の使い方やコマ割りなんかも洗練されているように感じる。 ルー=ガルー というのが 人食い狼 ということなのだそうだけど、3巻で完結ということで一気読みがしやすく良いと思う。