幼い頃にファンシーショップ(という概念)で見たような、おばあちゃんが持ってた刺繍の本に描いてあったような、なんとも古くさくて幻想的です。ノスタルジーを呼び起こすような、誰もが懐かしく思う世界観が広がります。 登場する動物たちはとても愛らしいのですが、どんくさかったりお喋りすぎたりちょっと意地悪だったりどこか一癖あるのがまた魅力的です。ファンタジックな世界観でひたすら所帯染みたことをやるのが、かわいくてちょっと滑稽で心癒されます。宮沢賢治的と言えなくもないかもしれません。 幻想的なのに誰もが懐かしくなるような原風景が描かれた作品です。あるはずのない、野うさぎだった頃の記憶が蘇ります。
精神的に疲れてしまった時に、小さなお茶会のコミックを開けば、ほっこりとしたリラックス空間が広がる、そんな素敵な漫画です。「ぷりん」と「もっぷ」夫婦が作り出す、あたたかく優しい雰囲気がとても素晴らしいです。一日の疲れを癒すのにぴったりの作品です。
猫十字社という奇才がかつていたことを、もっと思い出さないといけない。 佳品『小さなお茶会』のほうが少し有名だとは思うのですが、やっぱり『黒もん』ですよ、『黒もん』! 例えば、今や大きな潮流となっている「BL」的なるものの前段としてのJUNEについてとか、その源流『風と木の詩』まで遡るタイプの言説は、それなりにあると思うのですが、少女漫画的「少年愛」を、「男色!」として破壊的なギャグで表現したのは、この猫十字社『黒のもんもん組』をもって嚆矢とする…とかいうテキストは、ほとんど見ないですよねえ。 でも、そういう意味で、山上たつひこ『喜劇新思想体系』や新田たつお『怪人アッカーマン』に並ぶインパクトですし、少女漫画ギャグ史的には、少年漫画史の巨大なる高峰『マカロニほうれん荘』に匹敵する重要性を持つ作品だと思うんです。 (連載時期的にも作風的にも、『マカほう』の影響は強いだろうなあ) とにかく、これだけ好き勝手やってる少女誌のギャグなんて、今はほとんど存在しない。 本当に、当時の『LaLa』は、ものすごいラインナップでした。 とはいえ、もう40年以上前の漫画になっちゃうのか…。 『黒もん』完全版というのが出ているのをマンバで知りましたが、やっぱり今の読者には『県立御陀仏高校』や『華本さんちのご兄弟』から入ったほうが、読みやすかったりはするのかもしれませんね。
幼い頃にファンシーショップ(という概念)で見たような、おばあちゃんが持ってた刺繍の本に描いてあったような、なんとも古くさくて幻想的です。ノスタルジーを呼び起こすような、誰もが懐かしく思う世界観が広がります。 登場する動物たちはとても愛らしいのですが、どんくさかったりお喋りすぎたりちょっと意地悪だったりどこか一癖あるのがまた魅力的です。ファンタジックな世界観でひたすら所帯染みたことをやるのが、かわいくてちょっと滑稽で心癒されます。宮沢賢治的と言えなくもないかもしれません。 幻想的なのに誰もが懐かしくなるような原風景が描かれた作品です。あるはずのない、野うさぎだった頃の記憶が蘇ります。