真っ赤なルージュが付いたシャツを着て、閉店ギリギリに髪を切りにきた男・杵本に恋をしてしまった、美容師の咲也。どうしても、杵本に再会したい咲也は、ヘアメークに転身して、スタジオで広告代理店マンの杵本に再会する。が、赤いルージュの主との婚約を機に髪を切りに来店したことなどを知り、落ち込む。悩みながら仕事を続けていく上で、愛することと愛されることの両方を満たすと、幸せなフェロモンをだせるようになることに、そして誰もいないよりも愛する人がいるほうが幸せであることを知り、女として一皮むけていく咲也だが…
結婚記念日には、ホテルのスウィートルームに泊まり、とびきりのプレゼントを贈る。毎年そんなセレモニーをする一級建築士・高雄と社長令嬢・緋佐子の夫婦。裕福な家庭で順風満帆に育ってきた2人は何の障害もなく学生結婚し、周囲には「すぐ別れる」と考える者も多かったが、結婚生活も今年で10年目。しかし、今年の結婚記念日直前に高雄の身に不測の事態が…!? 結婚記念日をテーマに夫婦愛を描いたオムニバス短編集。全3話収録。
カーリーは華やかな活躍が期待されているモデル界の新星。今夜のパーティーで“フローレス・ガール”に選ばれたら名実ともにトップになるだろう。カメラマンのソール・キングスランドに選ばれさえすれば。私は…彼に会うためにここまで来た。私を絶望の底に落とした彼に、この整形して美しくなった姿を見せつけるために。まさか私が、あなたに裏切られた田舎のみっともない少女だったなんて気づかないだろう。カーリーは暗く冷たい彼の瞳をみかえし、背筋をのばした。
あの過去があるかぎり、わたしは恋をしない。できるわけがない。モデル事務所で働くセレステは男性を遠ざけて暮らしてきた。しかし、パーティーでラファエルと出会って星の話をしたとき初めて、心が揺れるのを感じた。セレブの彼は通りすがりの私なんてすぐに忘れるわ。しかし、帰ると部屋は一面の花束で埋めつくされていた。遠ざからなければ。そう思って出かけたバカンス先にも彼は現れ、魅力的な笑顔で甘くささやいてくる。お願い、わたしの心をこじ開けないで…。
「口がかたくて賢くてヒマでハンサムな男いない?」突拍子もないジェシカの要求に友人は驚愕した。成功目前のビッグプロジェクトを抱えるジェシカは、しつこい上司に言いよられ、身の危険を感じ焦っていたのだ。偽りの恋人役として紹介されたのは条件ピッタリのダン。超エリートがどうしてこんな役をひきうけてくれたの? プロポーズをなぜかたてつづけに断られた彼は報酬として女心を研究したいと言うのだ。恋は条件でするもの? 生涯をともにする決め手って何?
TVプロデューサーのデラが番組のナビゲーターに選んだのは新進気鋭の考古学者カルロ・リヌッチ。さっそくポンペイで遺跡調査をしている彼に会いに行く。出逢ったとたん情熱的に惹かれあい、結ばれるふたり。でもデラにはわかっていた。私は彼より7歳も年上の子持ち。名家の彼にとって、これはひとときの恋だと。たとえ彼が本気になってプロポーズしてくれたとしても…。私の秘密に巻きこんではいけない。デラは一族の皆の前でわざと彼を傷つけ、別れを告げた。
弁護士のミニーは最愛の夫を亡くして以来、同じアパートで暮らす住人たちとの交流だけを頼りに、心を閉ざして生きていた。だがある日、そのアパートの新しい家主となるルークが視察にやって来る。この居心地のいい古いアパートをまさか取り壊すつもり!? 警戒するミニーだったが、ルークは予想外にアパートになじんで住みついてしまう。ミニーがやがて心を開きはじめた矢先、彼の部屋でガス爆発が起きる! 愛する人を失うなんて、もう2度と耐えられないのに――。
かつて夫に裏切られた経験から、2度と男なんて信じないと誓っているオリンピア。仕事に打ち込み、取締役にまでなるが、ある日会社が買収されることに。社内騒然の朝、彼女のもとにちょうど臨時の秘書がやって来るが――意外なほどに若くてハンサムな彼こそが、実は新しい経営陣で“影の実力者”と恐れられるプリモ・リヌッチその人だった。正体を隠して社内の調査に入ったのだが、何も知らぬオリンピアは彼の前でプリモを悪党だとののしってしまい!?
社長秘書のテスを災難が襲う。社長ゲイブリエルの留守に中年女性がやってきて、「この子を預かってほしい」と赤ん坊を押しつけていったのだ! 赤ん坊はゲイブリエルの甥だと分かるが、独身で仕事人間の彼に赤ん坊の世話などできるわけがない。「残業代3倍出す!」と押し切られ、テスは彼の家に一晩泊まることになり・・・。
今年。リサにとって人生最高となるはずのクリスマスイブは台無しだった。恋人の実家で開かれたイブのパーティーの席上で、リサは大富豪のオリヴァー・ダヴェンポートに“ふしだら”呼ばわりされたのだ! 一方的な非難に反論しようとしても、裕福で社会的地位もあるオリヴァーの言葉を周囲はうのみにするばかり。婚約目前だったのに、恋人にもその家族からも冷たい視線を向けられ、リサの心は絶望にひき裂かれた。オリヴァーには、そうするだけの理由があったのだが…。