――彼女は、その日まで幸福だった。16歳で結婚してから、わずか一年足らずで夫に先立たれるまでは。女子高生にして未亡人になってしまった晶は、夫の実家でそのまま居候することになる。しかし、その家には晶に想いを寄せる、亡き夫の弟・誠吾もいて――。死者に心を囚われたままの晶を、誠吾は救い出そうともがくが……。義弟→未亡人→死者。この一方通行の片恋に、生産性なんてありはしない。