「この子はきっと駿の生まれ変わりなんだ――!」最愛のひとり息子・駿を亡くし、それが原因で夫とも離婚した持田香穂。4年経った今でもその傷は癒えることなく、彼女を苦しめていた。ある日、新しく始めた仕事の派遣先で、高校時代の友人・高橋史也と再会する。香穂と同じくバツイチだという彼には、亡くなった駿と同い年の息子・亮太がいた。こんな偶然あるのね…。そう感じていた彼女だったが、史也が連れてきた亮太は笑顔や仕草が駿とそっくりで――…!?
恋人・尚也との結婚を間近に控え、幸せの絶頂にあった早希(25歳)を信じられない悲劇が襲った。式も近いこともあり風邪気味なのを早く治したかった早希は、風邪薬と頭痛薬の2種類の薬を一度に服用したのだが、その副作用によって「SJS(スティーブンス・ジョンソン症候群)」という、100万人に1人~6人という稀な発症率の難病に見舞われてしまったのだ。その症状は、肝臓や腎臓、呼吸器に重い障害が残り、さらに角膜がただれて視力が落ち、顔も醜くただれるという恐ろしいものだった。おかげで非情にも尚也からは婚約の解消を申し渡され、絶望のドン底に沈んだ早希は、働くわけにもいかず引きこもるように実家での自宅療養の道を選ばざるを得なかった。そんなある日、足をひきずり顔を隠すようにして、薬をもらいに病院へ行くのだが、そこで大島樹という一人の青年と知り合う。ある事情で心に傷を抱える彼と次第に親しくなっていく早希だったが、自分の病気のことを考えるととても前向きに交際を考えることなどできなかった。しかし、そんな早希を巡る運命は大きく変わろうとしていた――…。
沙帆は3年前に夫・友明と結婚し、まだ子供には恵まれていなかったものの、幸せな日々を送っていた。5年ほど前から抱えている頭痛の持病がちょっと辛かったが、さして気にしてもいなかった。ところがそんなある日、友明が突然の交通事故で急逝するという悲劇が沙帆を見舞う。しかも、その直後に妊娠3ヶ月であることが判明するという皮肉な経緯となったが、姑の希望もあり、沙帆に産まないという選択肢はなかった。が、さらなる悲劇はまさに臨月、出産のときに起こった。いきんだ瞬間に沙帆は脳出血を起こしてしまったのだ。幸い無事に赤ちゃんを産むことはできたが、実は沙帆は「ウィリス動脈輪閉塞症(通称・もやもや病)」という、国の難病にも指定されている恐ろしい病気だった。“もやもや”いう響きから、なんとなくあまり大したことのないイメージを持たれがちだが、常に脳梗塞や脳出血の危険と隣り合わせなのだという。しかし、生まれた男の子を「光」と名付けた彼女は、亡くなった友明のためにも、そして未来への希望のためにも、光と二人でがんばって生きていこうと誓う――が、現実は残酷だった。出産のときに起こした脳出血の後遺症から沙帆はなかば半身不随のような状況に陥ってしまい、これでは大事な孫の世話は任せられないと、光を姑に奪われてしまう。果たして沙帆の、そして母子の絆の運命は一体……!?
主婦兼OLの小沢実沙子は新婚1ヶ月。貯金もないため、サラリーマンの夫と築25年の安アパートに住んでいて、少しでもオシャレな暮らしを目指して日々部屋の模様替えに余念がないのだが、はっきり言って高が知れている。そんなとき、一人暮らしの姑が実家でボヤ騒ぎを起こす。これはほっておくと危ないかも…ということで、夫の提案で家を売り払い頭金を作り、都内の新築マンションで3人暮らしをしようということになる。やった、これで念願のオシャレ・ライフを実現できる! と喜び勇んでシックでモダンな家具や調度を買いそろえる実沙子だったが、ここで思わぬ難敵が! 実は姑はものすごい手作り魔で、服から小物からインテリア、果ては味噌や漬物まで、独自のセンス(はっきり言ってダサい…)とレシピでとにかく手作りしまくり、家の中をオシャレとは程遠い世界に汚染していくのだった。手作り食料品を無理やりもらったご近所さんたちからも文句を言われるに及び、ついに実沙子は手作りをやめるように姑にきつく言い放ってしまうのだが…?
生い立ちを理由に結婚が破断になってしまった小夜子。母は幼い自分と父を捨て出ていき、荒れた父は事件を起こし刑務所へ。それ以来、親戚や施設をたらいまわしにされて生きてきた。やっと幸せになれると思ったのに…。そんなある時、生き別れた母の居所を知り電話して娘だと言ってみるが、母の反応は「迷惑だ、二度と連絡しないで!」という非情な言葉。絶望し、自らの不遇を呪った小夜子は、今は社長夫人になっている母の家庭に家政婦として入り込む。すべては母を不幸にするために! そして小夜子は禁断の方法で復讐するのだが…! 母子の愛憎渦巻く究極サスペンス。