周りを見渡すと、不機嫌な表情を浮かべている高齢者が、なんと多いことか。社会に、政治に、隣人に、そして伴侶に、さらには飲食店の店員にさえ、不満をぶつけたりする光景に出くわすこともある。かつて一流企業に勤めていたとか、どこそこの会社の部長だったとか、そんなことは現役を退いたら関係なくなる。何歳になろうと、人生を楽しみ、人生を謳歌すべき。どんな肩書きも外して、『死ぬまで上機嫌。』がいちばんいいのだ。 人生は考え方次第で、上機嫌にも、不機嫌にもなる。嫌な思いをしたとしても、「ま、いいか」「それがどうした」「人それぞれ」と思えば、万事解決。どんな状況を目の当たりにしても、「こういうこともあるだろう」と鷹揚に受け入れられる自分でいたい。『島耕作』シリーズ、『黄昏流星群』『人間交差点』など、数々のヒット作を描いてきた漫画家・弘兼憲史氏が「そのとき」が来るまで、人生を思う存分まっとうする上機嫌な生き方、心のありようを指南する。

　今年、創刊50周年のマンガ誌「ビッグコミック」（小学館）の関係者に、名作の生まれた裏側や同誌について聞く連載企画「ビッグに聞く」。第13回は、「島耕作」シリー...

「夢は必ずかなう」。そんな言葉をよく耳にします。「願えばかなう、だから夢を持ちなさい」というのは、1つの考え方としては理解できます。ただ現実の世界では、夢はいつもいつも、かなうものではありません。かなわない夢だってある。そんな現実を、子どもたちに早く教えた方がいいと思います。 ■夢には期限をつけるべき ...

島耕作は2008年、初芝五洋ホールディングス（現在はTECOT）の社長に就任しました。TECOTは漫画の中では世界有数の電機メーカーとして描いています。日本を代表する大企業のトップにまで上り詰めたわけです。そんな島耕作はこれから、どうなっていくのか。いくつか考えていることがあります。 ■社長、会長、そして ...

1983年から「島耕作」を主人公とする漫画を描き続けています。最初は読み切りのつもりでしたが、思いのほか好評で、1984年からは連載になりました。「課長」から始めた作品は「部長」「取締役」「常務」「専務」を経ていまは「社長　島耕作」として講談社の「モーニング」という漫画週刊誌に連載中です。 ■「ワーク・ライフ・バランス」とは正反対の人生 ...

このコラムの第1回でワークライフバランスなんて考えていないと書きました。人生の大半を仕事漬けで過ごす日々ですが、せめて自宅にいるときには家族と仕事の話はしないようにしています。家には仕事を持ち込まない、が原則です。 妻は漫画家で同業者です。二人でお互いの仕事の話を始めてしまうと夫婦だから遠慮なく指摘してしまって、むかついたりするかもしれないし、ちょっと恥ずかしくもありますね。 ...

2018年7月の西日本豪雨で被災した純米大吟醸「獺祭（だっさい）」の蔵元、旭酒造。「獺祭」として販売できないものになってしまったお酒を「獺祭 島耕作」として65万本発売し、1本につき200円を復興支援に当てる。発売されるまでのエピソードと、35周年を迎える『島耕作』について弘兼憲史氏に聞く。

ちょっと情けなかった電機メーカーの若手サラリーマンが、出世の浮き沈みを経て、現在は会長にまで上り詰めた「島耕作」シリーズ（週刊モーニング）。１９８３年の連載開始から３３年、これまでの発行部数が計４０００万部にのぼる人気シリーズは、４月から「ミャンマー編」が始まる。作者の弘兼憲史さん（６８）は準備のため、２月に現地へ取材に行った。「道路は整備されていないし、高層ビルもまだ少ない。電力不足も深刻...

実は、このキャラクターを描くことになったのは、偶然のことだったんです。それまで大学では早慶戦などで、横山隆一さんの連載漫画の主人公「フクちゃん」を使っていた。しかし新しい世紀に向けて新キャラクターを、ということで校友を中心にデザイナーや漫画家などに公募をかけたんですね。ある日突然、先輩から電話がかかってきて、「お前、漫研の代表として何か描け！」と（笑）。 ...

ひろかねけんし・1947年山口県生まれ。早稲田大学法学部卒業。70年、松下電器産業（現パナソニック）に入社し、本社販売助成部に勤務。退職後、74年に『風薫る』でデビューを果たし、『島耕作』シリーズ、『ハロー張りネズミ』、『加治隆介の議』など多くの作品を発表。おもな受賞歴は第30回小学館漫画賞『人間交差点』（1980年連載開始）、第15回講談社漫画賞『課長　島耕作』（1983年連載開始）、文化...