ファインダー―京都女学院物語―

ほぼ日常、ときどき秋本ギャグ

ファインダー―京都女学院物語― 秋本治
名無し

特別な写真家としての才能があるわけでもないし、 人一倍のカメラへの情熱があるというわけでもない。 ネコの写真を撮ろうかな、程度の気分で写真部に 入部した女子高生4人組の物語。 あまりヤマとかタニとか多くはないストーリーだが それならそれで淡々とした日常ドラマかといえば、 写真部の部長は女子高生でありながら 戦場カメラマン志望だったり、 いかにも「こち亀」の秋本治先生らしい ギャグ・キャラも何人か登場したりする。 なので日常系漫画とも評しがたい。 おかげで面白い漫画になっている部分はあると思うが。 カメラについてのマニアックな話も出てくる。 京都のフォトジュニックな街並み紹介もある。 とはいえカメラマン漫画にありがちそうな、 一生心に残る写真が撮れました、みたいなエピソードは 強く全面に押し出されてはいない。 むしろ偶然に取れた写真が評価されたり、 課題写真をこなすのにごまかしをしたり、 真面目に写真を撮っている人達からしたらオイオイと 言いたくなるような展開もあったりする。 もしかしたら秋本先生からしたら 「だって女子高生の日常なんてそんな感じでしょ」 ということなのかもしれない。 後々になって振り返ればかけがえの無いひと時だったとしても、 第三者から観たらただの日常。 常に全力でしたとか真剣でしたとか、 実は深かったとか愛が溢れていたとか、 そういうものでもないでしょ、でもそれもいいでしょ、 と秋本先生は言いたいのかもしれない。 そんな感じに達観した上で、そういう青春を良しとし、 あえてそういう世界を全一巻で描いたのかもな、と思った。