まず、これを愛とします。

闇を欲する本能にフィットする男と女の話 #1巻応援

まず、これを愛とします。 東京日記
兎来栄寿
兎来栄寿

Twitterで大人気にして謎の描き手である東京日記さんの作品が単行本になりました。Twitter掲載作品の他に、今回の刊行に当たって3割ほどが描き下ろしとなっています。 若い男女間におけるアレやソレやの掌編が、数多く載っています。 普段からバリバリにマンガを読んでいる層というよりは、『明日、私は誰かのカノジョ』や『深夜のダメ恋図鑑』や『サレタガワのブルー』などが好きな20〜30代女性がコアなターゲット層になっているであろう作品です。 「意味がわかると怖い話」的な部分もあり、ちょっと考察したり言及したりなる部分が多分に含まれていること、また男女関係が絡んだ内容は多くの人の自分の経験からの共感や反感を生むものになっていることもあいまってSNSとの相性抜群です。諸々計算してやっていると思うのですが、しっかり20万人以上のフォロワーができており効果は抜群です。 ある種の救われなさや、愚かさ、歪み捻じ曲がった感情もたくさん描かれますが、逆にそうした部分もシンプルに明るく正しいものよりも陰鬱なものや不条理なものをどこかで求めてしまう現代人の荒んだ心にもフィットしています。あるいは、より深い闇を見ることでどこか自分の境遇に安心する心理にも働き掛けているのかもしれません。 描き下ろしの(東京日記さんの作品としてはかなり長い)短編も、実に「らしい」お話でした。 絵はかなりラフで背景なども最低限ではありながらも、これらのお話にはとてもマッチした画風なのも東京日記さんの良いところですね。 Twitterではアシスタントやバックスタッフの募集もしており、今後活動の幅を広げていきそうな予感がして楽しみです。