煙突を抜けるとそこは――。煙突掃除の少女が見つけた世界の秘密。世界はいったい誰の夢なのか!? 『青い薬』のフレデリック・ペータース最新翻訳。父親を手伝い、煙突掃除をする少女アディダス。母親は他界し、父と2人、慎ましくも、楽しい日々を過ごしていた。彼女の悩みは突然理由もわからず気絶してしまうこと。その回数は次第に増え、気絶している時間も徐々に長くなってきている。ある日、煙突の奥深くへと迷い込んだアディダスは、人間よりも一回りも二回りも大きい怪物に出くわす。彼らは地中深くで、人間の能力や体調、感情すらも制御する機械の管理をして暮らしているのだ。アディダスの謎の発作もこの機械の不調が原因だった。やがて、機械の存在を嗅ぎつけ、それを我が物としようとする輩が現れる……。 ある少女の冒険を通じて、夢と世界の謎に迫る寓話的ファンタジー。
アメリカのハートランドで起こった氷のような詩的犯罪。隔離され雪に覆われた小さな町に赴任した保安官は、自分の居場所を見つけようと奮闘する。この町に住む人々は、他人に関心がなく、よそ者には親切に接しない。自分のことにしか興味がない人々なのであるが、奇妙なことに、彼らは自分のしたいことをしているのだ。落ち着いたもの静かな保安官が、仕事に取り掛かろうと決意するまでは…。