『少年の残響』以来の座紀光倫さんの『シリウス』帰還作品。女装が趣味のおじさんが、男子高校生に一目惚れされて告白されるところから始まる物語です。 最近の異性装は本当にレベル高いですからね。声だって訓練次第でどうとでもなりますし。有名な方々もたくさんいますが、そういうことが実際にあってもおかしくない時代です。 主人公たちはなし崩し的に連絡先交換をして、映画館デートをして、動物園デートをして……と着実にステップアップしていきます。テンポ感は『島耕作』ほどとは言えないまでも、少なくとも1巻で『君に届け』は置き去りにしています。 毎回真実を告げようと思うものの、言い出せずにいるおじさん側の葛藤と、それに対してピュアすぎる男子高校生の対比が面白い構図になっており味わいを生み出しています。座紀光倫さんの少年への嗜好性が、とても良い方向に作用している作品です。 言い寄られる側のおじさんも、社会生活で辛いことがあったときにふと男子高校生の存在が支えになる瞬間があることを自覚するなど段々まんざらでもなくなっていっており、最終的な着地点が非常に気になる物語です。 もしも、本当はお姉さんではなくおじさんだと気付いてしまったときに、彼はどういう反応をするのか。BL系レーベルではなく、少年誌でこういった作品が出てくる時代性を改めて噛み締めます。 かわいい男子高校生が見たい方、女装中年との微笑ましい絡みを見てみたい方にお薦めです。
『少年の残響』や『ヒーロー探偵ニック』の座紀光倫さんの新作です。 筆者が実際に大人になってから3ヶ月のドイツ留学をし、ハイデルベルクで生活した実体験やドイツ各地への取材によって描かれる、ドイツを舞台にしたロードムービー的な作品です。 24000枚以上のマイセン磁器タイルを張り合わせた長大な壁画「君主の行列」が有名なドレスデン城であったり、ライプツィヒの中央駅やメードラー・パッサージュなど有名な観光名所も数多く描かれていきます。読んでいるだけでも、ドイツ旅行をしている気分になれて楽しい作品です。そして、旅といえばモノだけでなく人との出会い。旅先で出会うからこそ、普段は話さない・話せないことでも語れてしまう不思議。座紀光倫さんは『少年の残響』のときから変わらず少年の描き方が良いなと思います。彼らがこの旅を通してどのように変化していくのか、成長していくのか、目的は果たせるのか。楽しみです。 なお、単行本だとあとがきマンガが8ページもあり、しかもかなり赤裸々で面白く良い内容でしたので、こちらだけでもお薦めしたいです。『少年の残響』が連載終了となってしまっていたのと時を同じくして結婚を前提に人生で生まれて初めてお付き合いをしていた方にフラれてしまったことで失意のどん底に陥ってしまっていたという筆者が、人生を大きく変えることになった海外旅行のお話となっています。 2022年には、来場者7万5千人のアニメイベントも行われたということで、ドイツでもアニメ・マンガが大人気で嬉しいですね。この作品も、ドイツ語に翻訳されて現地の方々にも楽しまれてほしいですね。 余談ですが、私は『聖闘士星矢』や『ジョジョ』や『ARIA』、それとミッフィーちゃんが好きすぎてヨーロッパ旅行に行った際にはギリシャとイタリアとオランダを最優先にしてしまいましたが、ドイツも非常に行きたい国の1つでスケジュールにめぼしいところはピックアップしていました。シェーンブルクの古城ホテルであったり、筆者も旅行に行ったというノイシュヴァンシュタイン城は人生で一度は行きたい場所です。そして、ビールを飲みながら焼きたてのパンやカリーブルストを食べたいです。
『少年の残響』以来の座紀光倫さんの『シリウス』帰還作品。女装が趣味のおじさんが、男子高校生に一目惚れされて告白されるところから始まる物語です。 最近の異性装は本当にレベル高いですからね。声だって訓練次第でどうとでもなりますし。有名な方々もたくさんいますが、そういうことが実際にあってもおかしくない時代です。 主人公たちはなし崩し的に連絡先交換をして、映画館デートをして、動物園デートをして……と着実にステップアップしていきます。テンポ感は『島耕作』ほどとは言えないまでも、少なくとも1巻で『君に届け』は置き去りにしています。 毎回真実を告げようと思うものの、言い出せずにいるおじさん側の葛藤と、それに対してピュアすぎる男子高校生の対比が面白い構図になっており味わいを生み出しています。座紀光倫さんの少年への嗜好性が、とても良い方向に作用している作品です。 言い寄られる側のおじさんも、社会生活で辛いことがあったときにふと男子高校生の存在が支えになる瞬間があることを自覚するなど段々まんざらでもなくなっていっており、最終的な着地点が非常に気になる物語です。 もしも、本当はお姉さんではなくおじさんだと気付いてしまったときに、彼はどういう反応をするのか。BL系レーベルではなく、少年誌でこういった作品が出てくる時代性を改めて噛み締めます。 かわいい男子高校生が見たい方、女装中年との微笑ましい絡みを見てみたい方にお薦めです。