広告代理店に勤める馨は、人ならざるものが見える特異体質を持っていた。そのため周りに馴染めず、孤独な思いを抱えていたが不思議な鏡を拾ったことをきっかけに、馨の生活は一変する。なんと、鏡から獣の耳と尻尾を生やした少年が現れたのだ。「物の怪を統べる王、黒狼の化身・大牙だ」と名乗った少年は鏡が割れたせいで力を失い幼体化し、元の世界に帰れないと言う。そんな大牙の面倒をみることにしたが、彼は人間を毛嫌いし、敵意を向けてくる。それでも時間を重ねるごとに心を開いてくれ、馨もまた、大牙との生活に孤独を忘れかけていた。しかし 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
高校生の柊堂玲は、ある日不思議な鞘に導かれ、異世界に迷い込んでしまう。そこは、神によって選ばれた強靭な王・刹那が統べる鬼玉と呼ばれる国だった。玲が手にした「鞘」は、王が所持する「王剣」と対を成すもので、鬼玉で長年にわたり探し求められていたらしい。半ば強制的に鞘の持ち主にされた玲は、戸惑いのまま王宮に連れて行かれ、常に刹那と行動をともにすることを余儀なくされる。二人は運命を共する唯一無二の存在らしいが、自分を道具として扱う刹那の冷徹な態度に、玲は傷つき寂しさを覚える。しかし、王剣に宿る鬼の力に徐々に身も心も蝕まれる刹那の苦悩を感じた玲は、帰る手段を模索しながらもどうしても刹那を放っておけなくて――? 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
はるか昔、栄華を極めた華和泉の国に、神と共に采配を振るう験の巫女がいた。その拠点とされた歴史ある華和泉神社に生まれた美鈴は、可憐な容姿で心優しく、幼くして両親を亡くしながらも、祖父と二人幸せに暮らしていた。しかし二十歳になった美鈴の身体に、異変が起こる。祖父を残して死ねないと、美鈴は祠に祀られた神に助けを求めるが、そこに現れたのは二人の男だった。一人は硬質で勇ましい男、名は黒蓮。もう一人は柔和で輝く美貌の男、百蘭。なんと二人は双子の神で、美鈴は彼らに仕えた験の巫女の血を引くらしい。強引ながらも秘めた優しさを見せる黒蓮と、穏やかで理知的な百蘭、そんな二人に愛されてしまった美鈴は――? 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。