<第1話>7階にあるデザイン事務所で事務員として働く玉木繭は、モテモテの女好きデザイナーの梶に片思い中。ある日、酔った梶に迫られ、流されるまま抱かれてしまった繭は……。<第2話>とことんツイてない23歳の誕生日。恵理はビルの4階にある『高田司法書士事務所』に来ていた。いつものように親友の高田にグチっていると、急にキスされて――。<第3話>何でも屋を営む渚は急な資金繰りのため、取引先である1階の秋霖堂店主・都築将宗と「契約結婚」することになる。ある日酔った将宗に誘われ“初めて”を経験してしまい――。『赤ビル』に出入りする様々な人々の恋愛模様を3篇収録。
「お前は今日から俺の秘書だ。存分に骨身を削って尽くしてもらうぞ」──失恋、失業と続けざまに不幸が押し寄せ、人生のどん底を味わっていた百瀬郁。友人の紹介で好条件の再就職先も決まったのだが、そこには学生時代からの天敵・片桐冬真が待ち構えていた。副社長となった彼の秘書が郁の仕事。終わった……私の人生終わった……そんな絶望すら感じた郁だったが、彼に秘書として接するうちに少しずつ印象が変わっていく。天敵だけど冬真を嫌いになり切れない。ある日、学生時代の仲間を集めて再就職祝いが催され、つい飲み過ぎてしまった郁。彼女を家に送り届けてくれた冬真から思いもよらない宣言をされ、天敵関係が甘く変化していく──