会社員の尚斗は、ナオと名乗り、互いに「絶対に好きにならない」という条件で恋人持ちとばかりお付き合いをしている。本来の恋人を優先させ、惚気話を聞くことを楽しみにしている尚斗だが、今回も自分に本気になられたことで破局を迎えてしまう。別れ話が拗れ、相手が引かないなか助けに入ってくれたレイという男に、突然恋人になれと告げられ困惑する尚斗。長年の片想い相手へのカムフラージュという理由に納得し、それぞれ出し合った条件のもと恋人として過ごすこととなったが……?
【イラスト付き】傷心の夏生は、今は亡き祖父に譲られた家へ逃げるように引っ越した。そこで出会った古民家喫茶で働く強面の青年・明良が、幼少の頃、祖父の家に行くたび夏生によく懐いてくれた「あっちゃん」だと発覚する。保護した迷い犬の飼い主である明良からの提案でそのまま子犬を引き取ると、毎日の散歩に誘ってくれたり不摂生な食生活の夏生に美味しいご飯を用意してくれたり、なにかと世話を焼かれるように。大好きだった祖父とのわだかまり、元恋人からの裏切りで人間不信気味な夏生の心を、明良は優しく解いてくれるけど……? 電子限定書き下ろしSSを収録!!
「信じろ。俺は、あんたには嘘をつかない」信じていた人間の裏切りに傷つき体調を崩していた中室哲は、療養のため叔父の別荘で暮らしていた。そんなとき、哲はひとりの青年と出逢う。不遜で、どこか人を醒めた目でみる羽島雄生だ。彼は別荘の庭先から怪我した腕を突き出し、哲に手当を要求したのだ。初対面の印象は最悪のふたりだったが、いつしか一緒にいることが楽しみになっていた。けれど、雄生が人気のある俳優であることから誤解が生まれ……人嫌いの青年と人から裏切られた青年。友人でもない、恋人でもない、曖昧で脆い関係が行き着いたのは?
きみは男と、私は最低の恋人とつきあってみる──サラリーマンの高平笙は、会社では野暮ったい髪に眼鏡をかけ、地味な服を着て目立たないように過ごしている。けれど、プライベートでは「セイ」と呼ばれ、夜遊びする人の間では、見た目はいいものの恋愛が続かない男として知られている。ある夜、ゲイの友人に連れられていったバーで、笙は他の部ではあるが社内の有名人で、人嫌いと言われている守川と知り合う。高平笙であることを隠し、守川と一緒に過ごすようになる笙だったが!?
ニ十歳になったら、あなたは私のものになる──母親の庇護者であった宮原が亡くなった十七歳の夏、宮原の秘書だった有木に、史哉はある取り引きを申し出た。母さんにはなにもしないでほしい、代わりに、自分を好きにしていいから、と。病いがちな母親を守るため、必死に考えた結果だった。有木と知り合ってからの時間は長いものの、史哉は彼がなにを考えているのかまったくわからなかった。そんな史哉に、有木は取り引きの意味を確認し、その証としてキスをする。そこから先は二十歳になってからだと告げて。有木がなにを考えているのかわからず苛立ちを抱えたまま、史哉は二十歳の夏を迎えることになり!?
私のことが、嫌いではないだろう?叔父のギャラリーで働く乾大和の前に、ある日、田宮と名乗る男が現れた。対人関係が苦手で、感情が顔に出ない大和は、これまで誰かに恋をしたことがなかった。そんな大和に、田宮はある提案をする。実験のつもりで恋愛してみないか、と。怖くなるほど甘やかしながら、時折意地悪く焦らしてはまた優しくする。そんな田宮に溺れていく大和だったが、あるきっかけで田宮の秘密を知り……!?
【イラスト付き】最低条件は日に一度のハグ。それ以外は呼び名も、髪や目の色、仕草に至るまで雇用契約を結んだ「ご主人さま」の指示に従う家政婦兼「ペット」の羽柴香。今回のご主人さま・有田は気難しい雰囲気の美丈夫で、自分をペットだと言い放つ香が気に食わないようだ。家政婦としての仕事をこなしてもハグももらえず冷たくされ雇用の継続は厳しいのではと諦観していたが、とある出来事をきっかけに、香は有田から少しずつ「自分でなにかを選ぶこと」を教えられていく。それはご主人さまに言われるがままだった香にとっては難しいことで、けれども確実に変化していく心がむずがゆく、どこか嬉しくて――。電子限定書き下ろしSSを収録!!
高校二年生の日比野尚志には自慢の兄と弟がいる。人気小説家の八歳年上の兄・俊和に、ぶっきらぼうだけど優しい一歳年下の弟・裕介だ。ふたりともかっこよくて、女の子に人気がある。一方、尚志はというと、どこからどこまでも普通だった。友人からはブラコンだとからかわれることもあったけど、裕介は大切な可愛い弟だし、兄の俊和にはなんでも話すことができた。だから尚志も俊和のことならなんでも知っているつもりだった。だけど、ある朝、尚志は俊和に男の恋人がいることを知って!?※電子版には挿絵は収録されておりません。ご了承ください。
複雑な事情を持ち祖母とふたりで暮らしている智之は、ある日、祖母が営むフラワーショップ「かがみ」でひとりの端正な男、高島一成と出逢う。若いながらもいくつもの店のオーナーである高島は、つねに罪悪感に苛まれ、居場所を持たない智之に人のぬくもり、誰かと一緒に過ごすことの楽しさを思い出させた。高島を強く意識する智之だが、それが恋なのかどうかもわからない。そんなとき、高島から智之の夜を買い取ると提案されるのだが……
【イラスト付き】告白されて付き合っても振られて終わる大学生の雅巳は、今の恋人との関係も破綻気味。ある日、サークルの合宿先の祭りでなぜか占いの屋台をやっていた変わり者の後輩・夏目の「サクラ」をやることに。ろくに会話をしたことのない夏目から近々恋人とは別れることになると言われ唖然、そそくさとその場を後にする雅巳だったが、今のままでは駄目だと決意し思いきって相談することに。「好き」という感情が理解できないのだと言う夏目は、興味深いサンプル扱いをしつつもアドバイスは的確で、雅巳は恋人に振り回されてばかりの現状を自覚し違和感を覚えていく。次第に、面白がりながらも真剣に向き合ってくれる夏目のことばかり考えていることに気付いて・・・・・・? 電子限定書き下ろしSSを収録!!