拉致された皇帝シエラは、両性具有である体を晒されたあげく、館に幽閉されていた。守護者であるはずの神の助けもない。だが神の代わりに、館を襲撃した双子の盗賊ラドとエドに助けられる。権力ではなくシエラ自身を望まれ、二人がかりで愛されて知った悦楽と人の温もり。やがてシエラは、二人を従えて帰還し──!
日和が一人で切り盛りするたいやき店の裏の家に、朗らかな笑顔のカメラマン・陸が引っ越してきた。住み着いていた野良猫の親子をその大きな手ですっかりなつかせた陸は、やがて店を手伝ってくれるようになる。将来への不安に駆られていた日和だったが、一回り年上の陸に甘やかされ、自分が彼の手で撫でられる猫になったような気がした。陸の手はあたたかくて、気持ちよくて……。
人と交わり、変化する獣をテーマとするものばかり集めた図書館を手伝う千佳也は、無愛想な利用者の凱が気になって仕方がない。ある日、得体の知れない化け物に変貌した知人に襲われ凱に助けられた千佳也は、彼の異能を目の当たりにする。先祖が喰らった獣神のなれの果てが身の内にいると教えられるが、その「獣」は千佳也の匂いに惹かれ、凱の理性をも危うくさせるらしく……。
勤務先の高級クラブで、和月聖弥は銀髪の美しい男、テオドール・ブラッドレイ──テオと出会う。退屈そうに豪遊するテオは、ただ1人の肉親である妹を失い人生を諦めてかけていた聖弥と大違いだ。帰り道で獣のようにうなる謎の男に襲われかけた聖弥をテオが助ける。「無駄に血を流すな」と不可解な言葉を告げたテオは、次の瞬間、聖弥の首に歯を立てた。その夜から聖弥はテオの夢に悩まされ続けて……!?
ごく普通の大学生の本郷勇希は、祖父が理事長を務める名門学園の跡取りだが、元アイドルという経歴の持ち主。現在は学園の警備部主任かつ厳格な教育係である貴島飛鷹と同居している。アイドルグループ時代のメンバー同士が起こした同性愛スキャンダルの揉み消しを頼むと、勇希まで関係していると誤解されてしまう。一方、勇希もほかのメンバーから言い寄られて……!?
名家の若き当主・萱嶋清良は、写真家だった兄の死地・サハラ砂漠を訪れ、砂漠に生きる民族の末裔であるアズィールと出会う。そして、なりゆきで彼が清良の屋敷に逗留することになる。朝目覚めると清良の寝台に寝ていたり、屋敷内を半裸で歩き回ったり――アズィールの言動に戸惑い苛立つばかりの清良。けれど、彼の高潔な強い眼差しと優しく伸ばされる手は、当主として己を律してきた清良の奥底に眠る孤独感を揺るがす。そして戯れで唇を重ねた日から、彼の体温が忘れられず――?
素性のわからない謎の美少女モデル・雛世。その正体は、実は17歳の内気な男の子。引きこもりのちひろは、デザイナーの兄の頼みで「雛世」を続けている。外に出るのは「雛世」のときくらい……。そんなある日、人気モデルの飛渡颯にうっかり秘密を知られてしまう。初めは「口止め料」としてキスを仕掛けてきた颯に戸惑ったちひろだけれど、彼の優しさに触れるうち、いつしか惹かれていき――!?
「真雪、世界で一番綺麗な人。…会いたかった」メンズもレディスも着こなす男女兼用モデルの真雪は、世界で活躍するメンズ・トップモデルの九堂陣と共演することになる。真雪に会うためトップモデルになったという彼は、真雪が男と知ってなお「こんなに好きになっちゃったもんはしょうがないよ」と犬のように懐き、所構わず迫ってきて――!?
愛したい、愛されたい。けれど―――。運命の相手との交わりで発情期を迎え、性別が決まる一族・ルルフォイ。真珠のごとき肌に銀の髪と紫の瞳―――発情期に生きた宝石と謳われる美貌に変容する彼らは、貴族の男性に望まれて女性になるのが常。そんな一族の中で、リュリは出生時から男性体。変容が叶わない自分は伴侶と巡り会えないだろうけれど、友がいるから…。そう心を慰めていたリュリだが、親友と信じていたカイルから求婚され…!? 淫靡なおとぎ話、二編収録。
彼の声が、表情が、仕草が、身体の奥を熱くする――。斉木昂哉は高校時代に1度だけ関係を持った天堂戒を想い続けている。無理矢理の情交だったけれど、彼が見せた刹那の優しさに焦がれていた。思いがけず再会し、会社員を辞めて戒がVIP客であるダイニングバーのスタッフになった昂哉。昂哉を覚えていない様子の戒は冷たいが、そばで見つめていられたらいいと思っていた。ところがある日、苛立ちをあらわにした戒に再び身体を奪われ――。
やわらかな顔立ちが印象的な大学生の珠里は、名門・鷲津家に仕える烏丸家の跡取りとして、心身ともに鍛錬に励む日々を送っていた。そんなある日、珠里は幼い頃から仕えてきた主の威仁がザーミル王国のアシュリー姫と婚約したと聞かされる。その知らせにどこか寂しさを覚えつつも、威仁の大事な婚約者を守るため、人前ではアシュリー姫の身代わりを引き受けることになった珠里。だが、身代わりのはずなのに、まるで本物の恋人のように扱ってくる威仁に次第に戸惑いを覚えはじめて…。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
大学生の笹生暁は、平凡で個性がないと言われながらも、モデルのバイトを続けていた。そんなある日、暁は新進気鋭のデザイナー・加賀谷隆介に、新ブランドのイメージモデルに抜擢される。モデルや俳優としても活躍した経験を持つ加賀谷は、暁にとっても憧れの存在だった。妥協を許さない加賀谷の仕事ぶりに触れ、彼に相応しいモデルになりたいと思うようになった暁。しかし、その想いは次第に尊敬以上の気持ちになり…。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
美大生の倫生は絵が思ったように描けないことで、スランプに陥っていた。そんな時、新進気鋭彫刻家の遼河から、骨格のモデルをしてほしいと依頼される。彼の作品に魅せられていた倫生は、遼河の強引で誘うような態度に戸惑いつつも、天才から何かを得たい気持ちもあり承諾する。最初は頭蓋骨を触るだけだったが、首筋、手足と触れてくる場所がきわどくなるにつれ、倫生は官能的な感覚を募らせてしまい…。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
清瀬神社の禰宜・音弥の元に、刀鍛冶をしている幼馴染の大我が滞在することになった。5年間、ある事情から大我と距離を置いていた音弥は、逞しい大人の男に成長した彼にどう接していいかわからず、混乱するばかり。だが、そんな音弥の気も知らず、大我は強引に接してくる。一方、街では”獣”によって人間が襲われるという奇怪な事件が発生。音弥もまた、謎の獣によって深い傷を負わされてしまう。その姿を目にした大我は――。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
銀髪に翡翠色の瞳、怜悧な美貌のバーテンダー・キリヤは、幼い頃、男の欲に曝されそうになったところを武流に救われた。以来、彼のことだけを想い生きてきた。決して抱いてはくれなくても、己のすべては武流のものだと決めていた。だが人身売買を担う男に目を付けられ、体を売るよう脅される。不動産会社の社長となって陽の当たる場所にいる武流を巻き込むまいとキリヤは、自分を守ろうとする彼を拒絶した。すると武流は獰猛な男の顔をあらわにし――。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
華族という身分と白皙の美貌をもつ朝来名真郷には誰にも明かせない秘密があった。亡くなった従兄・威彦と暮らした館を守るため、自ら薬を飲んで意識をなくし〈眠り姫〉として、客に一夜限りの快楽を与えているのだ。その秘密を知られるのを恐れ、目立たぬよう生活していた真郷だったが、ある日、社交界で噂となっている御嶽伯爵と出会う。威彦と良く似た風貌の伯爵に、次第に心を許すようになるが、男は目的をもって真郷に近づいていて……。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
幼少時代より父が創設した宗教教団の「巫女姫」としての役割を強いられてきた雪緒。18歳になったある日、教祖であった父が急死して教団が混乱するなか、ひとりの男が現れる。男の名は降旗勲。巨大企業グループを統べる名家の嫡男である勲は雪緒を自分の妻にすると宣言し、教団から強引に連れ去るが――!? 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
撮影の為、砂の国アルハラードを訪れた写真家の葵。だがそこで待っていたのは、魔神を意味する呼び名を持つ王弟ジンの、花嫁となる為の淫靡な儀式だった。王と傅く重臣達の前で媚薬を盛られ、金と宝石の飾りだけを纏う葵の体は、自身の意思に反してどうしようもなく昂っていく。快楽を受け入れる他ない葵に、ジンはまるで愛しい人にするような優しいくちづけを与え…。ただ王命に従い自分を犯す憎いはずの男。その胸に抱き寄せられ葵は!? アルハラードシリーズ第一弾文庫化★ 歩み出した二人の書き下ろし有り!!
その出生から日本で歌う事を許されず、遥か遠い地で隠れるように歌う来歌は、テロリストと疑われ捕らわれてしまう。何をしにきた?―アルハラードの王族・イスハークの問いに、ただ「歌うために」と答えた来歌は命じられるまま歌い、認められ『歌姫』として滞在を許された。来歌へと差し伸べられた手―イスハークによって、漠然と抱いていた望みは初めて形をなし、本当の事を言い出せないまま、それでも彼のために歌いたいと願うようになり―。
ゲリラの襲撃で崖から落ち、見知らぬ砂漠の宮殿で目覚めた摩那。彼の視界に最初に飛び込んできたのは印象的な金の瞳。そして気が付けば、何も纏わぬ体を、共に育ち慈しんだ虎と同じ「王」の名を持つ青年に抱きしめられていた。呆然と受け入れる、初めてのキス。舌を絡めてくる生々しい感触に体の奥までかき回される気がする。信じられない事をされているのにも拘らず、嫌悪感はなかった。それよりも不安を抱く摩那に与えられる温もりは心地よくて・・・。