「大丈夫ですか?なにかお困りのようですが」殺気立つ終電間際の駅のホームで靴を落とし、困り果てていた大手日用品メーカーの営業マン・久保睦深の前に現れたミステリアスな年上の男性・秋原。不器用で要領が悪く、他人の分まで働く睦深を労わり、王子様のように寄り添う彼と親密な時間を重ねるうちに、睦深は次第に秋原に惹かれていく。しかし彼には秘密があって……。深夜の駅で始まった、恋のお伽噺の結末は……!?
江島俊之、24歳。泣くも子も黙る広域暴力団・鵠沼会の一員…のはずが、何の因果か高校生のハウスキーパーをする羽目に!「ご主人様」の長谷克美は鵠沼会会長が幼い頃養女に出した娘の忘れ形見なのだという。大企業の社長令息として育ち、実の祖父はヤクザの大親分がいるとは知らない克美をひそかに見守れと言うのだが…!?
悠は引っ込み思案で平凡な高校二年生。そんな悠のクラスに、ある日転校生がやってきた。なんと彼は十年前に引っ越してしまうまで、悠が最も仲よくしていた幼馴染みの浩倫だった。けれど、かっこよく成長した浩倫との再会を喜んでいるというのに、悠は浩倫を前にすると息がつまり声を出すことができない。実はそれには深いわけがあって!?(「星の数ほどささやいて前編」はウェブ・マガジン小説花丸Vol.3に収録されています。重複購入にご注意ください)
わずか16歳のトップモデル・遙香。同じ事務所のパッとしない後輩・圭介に素質を見出し、一度きりの特別レッスンをほどこした。だがそれで花開いた圭介が周囲の注目を集めるにつれ、彼が自分だけのものではなくなってしまったような寂しさを感じる。衝動的に圭介の仕事をこきおろし、それを聞かれてしまったことで二人はすれちがうが、圭介は初めての大きな仕事であるクリスマスの撮影に遙香を招待する。そして遙香を愛しているからこそ、男として肩を並べられるようになりたかったと告白するのだった。
会計事務所に勤務する征実は、淡い憧れを抱いていた和彰に一目会いたくて高校の同窓会に出席する。クラスの中心人物だった和彰は案の定ひっぱりだこで、おとなしく目立たない征実はそれを遠くから眺めるのがやっと。ところが九年ぶりに再会した和彰は、学生の頃でさえほとんど接触のなかった征実に笑顔で話しかけてきた。『授業で婚姻届を作らされたよな。俺が捨てた婚姻届の妻の欄に、自分の名前を書き加えた覚えがあるか?』と和彰に尋ねられ、征実はつい『知らないよ』と否定するが……!?
社員寮の廃止のため、引っ越し先を探していた敦哉は、偶然出会った営業上手な不動産店支店長・三鷹に挑発されて、心理的瑕疵物件に住むことになってしまった。けれど実は敦哉は超がつくほどの怖がり。引っ越し初日から怯えていると、なぜか三鷹が引っ越しそばを持ってやってきて……。(「住めば都か、愛の巣か 前編」はウェブ・マガジン小説花丸 Vol.21に収録されています。重複購入にご注意ください)
純真無垢な菟神の敬兎は、幼い自分の命を救った咎で人間にされてしまった爽馬に恩を返したいと、胸を躍らせて人間界へやってきた。けれど、ようやく出会えた爽馬は、今は会社社長として成功を収めていて、『恩返しなんてただの自己満足。今すぐ神界へ帰れ!』と迷惑がられてしまう。なんとかそばに置いてもらうことに成功するも、慣れない人間会でウサ耳や尻尾を出しては失敗ばかりを繰り返す毎日。これじゃあ恩返しどころか足手まといになっちゃう! 落ち込む敬兎を爽馬はなんだか憎めず!?
引っ込み思案で平凡な高校生・悠は、幼馴染の浩倫との再会で過去のトラウマがよみがえり、浩倫の前では声が出ない状況に。そんな悠を浩倫は優しく包み込み、悠はトラウマを克服し晴れて浩倫と結ばれた。ラブラブな毎日を送っていたそんなある日、悠は浩倫の従兄弟・和泉から、浩倫が高校を卒業したら独り暮らしをすると教えられる。恋人なのにその事実を知らなかった悠の心は乱れ……。(「星の数ほど抱きしめて」はウェブ・マガジン小説花丸 Vol.13に収録されています。重複購入にご注意ください)
平凡なサラリーマンの杉田志織は、残業帰りの深夜、雨の降る墓地で立ち尽くす外国人男性に傘を貸した。見上げるような長身で褐色の肌と灰緑の瞳を持つ印象的な男だったが、礼のひと言も愛想笑いもない冷ややかな反応に、『余計なことをしちゃったかな?』と落ち込む志織。ところが翌日、二度と会うことはないと思っていたその彼が、どう調べたのか志織のアパートを突然訪ねてきたのだ。侯爵家の執事・ネレウスと名乗った彼は、『あなた様こそ、私の新たなご主人様です』と志織に告げてきて!?
ごく限られた人間だけが、美しい『人形』との遊戯を堪能できる『人形館』。過去の記憶を消され『人形』になった逸夢は、行為に恐怖心を持ちつつも、求めずにはいられない暗示をかけられている。華奢で物静かで、けれど淫らな逸夢は特殊な趣味の客たちに好まれた。ある日、客からのお仕置きで逸夢はついに倒れてしまう。そんな逸夢を介抱してくれたのは、『人形を殺したことがある』と噂される柳沢尚史だった。やがて逸夢は、尚史に恐れとも憧れともつかぬ感情を抱くようになり……。儚い逸夢の運命は!?