※ネタバレを含むクチコミです。
登場人物は個性豊かな4人のソシャゲプレイヤー。それぞれ推しキャラがカブっているいわゆる「同担」メンバーで、SNSで牽制し合ったりする質感がリアル。今回のイベントもギスギスしながらランクでしのぎを削っている…のだが唯一違うのはあと数時間で隕石が首都圏に落下するらしいということ。この女たち、すべての終わりを前にして最優先事項として推しのためにイベントを走っているのだ。 死を前にしてそれでもやりたいことをやるというのが生きるということ、みたいな大きなメッセージもあるのかもしれないけど、みんないつものように好きなことにのめりこんで、そこで繋がった人たちと過ごしているのがなんだか尊い。 終末を経て、少しだけ世界がよくなったように見えるというオチも美しかったです。
モーニングゼロやちばてつや賞でその才能の片鱗を見せていた及川滲さんの待望の初連載、面白くない訳がなく! まず高い画力が非常に魅力的。離島を舞台に紡がれる上質のヒューマンドラマは1冊で心地良い読後感を醸成してくれます。 東京でOLをやっていたつばめの所にやってくるのは、明らかに堅気ではなさそうな顔に傷のある男。生来の性格により男を放っておけないつばめが彼と共に島で船を使って観光案内をしながら新たな生活を営んでいくストーリーとなっています。 荒天によって本来の予定が崩れたが故に、至高の景色に出逢えて「昨日が雨で良かった」と思い直す新婚カップルの話などは正に人生そのもの。 ままならず思い通りに行かないのも、想像もしなかった偶然によって最高の体験に遭うのも、すべて愛すべき人生の一幕。人と人が出逢い別れ、あるいは再会し、そうして紡がれていく縁や絆が織りなす物語の愛おしさたるや。 及川滲さんのこの先のご活躍にも大いに期待したいです。
※ネタバレを含むクチコミです。