かつて私は、実の弟を誘拐した。植物館の職員として隠れるように生活していた大森日向子のもとに、突然、弟の夏樹が姿を現した。七年ぶりの再会により、胸に蘇る耐えがたき痛み。私はかつて、この弟を誘拐した―― あの時抱いた、甘く危険な感情。少年ではなく「男」になった弟。私たちは、禁忌を前に立ちすくむ。新鋭が繊細に描き出す、情念と愛の物語。
★特典は描き下ろしイラスト★六丸のコンプレックスは「声」だった。声変わりが訪れず、クラスメイトにもからかわれ、恥ずかしくて口を開くことも避けていた細く高い声。だがある日、鳴瀬という男に出会い、運命が動き出す。鳴瀬は六丸にやたらと構いたがり、やがて音楽の喜びを教えて…?【本作品は「翅の音―はねのね―」第1話~第5話を収録した電子特装版です】
昭和初期ーー東京のとある色街には悲しく、強く、可憐に生きる様々な人々が息づいていた。アイリスは逃れられない出自の為に。白花は欲しいものを手に入れる為に。夏子は大事なものを守りとおす為に。これは、かつての日本を彩った彼女達の物語。【描き下ろし漫画を収録】
叙情漫画の旗手が贈る「こい」の話