死んだ母親の借金を背負い、生活を送る少女・つむぎ。ある日、想いを寄せる隣人の善から、自分がヤクザであること、つむぎはヤクザの組長の娘であることを告げられる。そして、つむぎはこれまで善に助けてもらった恩に報いるため、お願いされた「顔も知らない若頭との婚姻」に了承する。しかし、密かにつむぎのことを想っている善は、異様な執着を見せ――。電子書籍版では、雑誌掲載時と同様に巻頭をカラーぺージで収録!
親子の哀しさを描ききった表題作「うもれてきえた」をはじめ、江戸に生きる化け狐と男の友情を描いた「化け物が一匹」、中東風ファンタジー・コメディー「アシュラフ王子の側近」など、読み手の心刺す物語を次々と生み出し続ける、恐るべき10代・やまだはるか。新人賞受賞作「チャオの花婿」を含む、短編5作を収録。人間とは、かくも美しく、優しく、そして哀しい――。