昭和32年の和歌山県西牟婁郡西ン谷を舞台に、炭焼きを生業とする青年の日常を描く。山を切ると同時に山を育てる――1200年もの間、紀州の森を守り育ててきた炭焼き師達の精神、炭作りの工程を通して自然と人間が共生している姿を綴っていく。タヌキ、キツツキ、トラツグミなどそこに住む野生の動物を介して、炭焼き師達の日常を抒情性豊かに描き出している点にも注目。
今も忘れてはならない大東亞戦争の記憶。著者が5年の歳月をかけて描いた渾身の1作。※電子化の底本とした紙版の『苺と骨大東亞戦争悲話完全版』(青林堂刊)を2分冊しております。