ナオミ・レモンの描く女の子たちは挑発する。エレガントに、セクシーに、どこか戸惑いを見せながら、なにか漠然とした不安を抱えながら、でも毅然として挑発する。ナオミ・レモンの女の子たちは、夢と現実の間に架かる浮橋の上に危うく住まう。エロティックなほどに危険に住まう。この画集では、そんな女の子たちのさまざまな表情が、華やかに切なく咲き乱れ、夢幻の陶酔にわたしたちを導いてくれる。女の子たちは2000年代初頭にそのオリジナルが描かれているが、この間に私たちを通り過ぎた時間により美しく研ぎ澄まされ、今最高の輝きを放っている。原石が磨かれて美しさが解き放たれるように……。この最高の輝きの世界に入り、エロティシズムの戯れと、夢幻の、至福のひと時におぼれていただきたい。 ※本書は2006年に刊行された『Wonders Don’t Care ナオミ・レモン作品集』(扶桑社刊)に対し、ナオミ・レモンが現時点のリアリティに基づいて再構成し、新たな作品としてよみがえらせたものです。ただし、同書の巻末に入っていた、安野モヨコ先生との対談などはそのままの形で掲載されています。
恋に落ちる瞬間は、時が止まり、目くるめく夢のよう気持ちに満たされる。この不思議は、実は「夢の精・ミミコ」が「夢の国・えくすとりー夢」で恋をつかさどっているからなのだ……! 「夢よりもドリーミー、現実よりもリアル」な「えくすとりー夢」の世界は、ナオミ・レモンでなければ描くことができない、蠱惑的でおしゃれな異次元空間。女たちも男たちも、圧倒的に美しく、官能的で、そしてどこか物憂げ。媚びることなく、毅然としていて、でもどこかに孤独の影を引きずっている。街角、深夜のオフィス、雲の上(国際線の機内)、学校からの帰り道、ベッドルーム、腕の中……と、6つ恋が語られる。また、今回の配信にあたって雑誌掲載時から大幅修正と書下ろしの「あとがき」も収録した。作者ナオミ・レモンは、現在アメリカ在住。バンド活動の傍ら、ファッション誌にイラストを描きつつ、安野モヨコ先生のアシスタントを経験後、マンガ家としてデビュー……という経歴。漫画の手法、枠組みを生かしながら、それにとらわれない新しい感覚、卓越した画力でナオミ・レモンが描きあげる華麗な世界! もはや夢と現実はその境界を極限(エクストリーム)まで縮めていき、二つの世界は幻想的に交差し、響きあう!!