奥深い山峡に広がる田舎町。美しい渓流の底には、まるで水鏡に映したような「もうひとつの世界」が広がっている――。主人公の澪(みお)は、東京在住のカメラ女子。毎年夏になると、生まれ育ったこの町にひとりで帰郷している。高二の夏休み、いつものように旧友たちと川遊びを楽しんだ澪は、ふとしたきっかけで幼馴染の航平(こうへい)の秘密を知ってしまう。それはやがて、ふたりと「世界」を揺るがす大事件へと発展して……。
「花人(はなびと)」――。まれに存在する、身体に花を咲かせる体質の人間。「花落とし」――。体に花を咲かせた人間が、花を舞い落としながら歩く様子から生まれた、いにしえより伝わる言葉。花人はごくふつうの人間たちと交じり合い、ごくふつうの日常を送っている。「花守(はなもり)」として花人の診療を行う鳴沢医院には、さまざまな事情を抱えた花人とその関係者が訪れ、やがて去っていく……。人が心の奥に仕舞っている闇と光を描き出す、残酷で優しい三編のオムニバスストーリー。Webで人気の大型新人漫画家、鮮烈の商業デビュー!