有能な実業家ラウルの秘書だったシレナは、3か月前、夢がかなって彼の恋人になれたと思った。けれどその翌日、彼はシレナを警察に突き出したのだ。彼の口座から金を盗んだと一方的に決めつけて。やさしかった彼が、法定で別人のように憎しみをあらわにすることに耐えきれず、シレナは裁判が終わった瞬間、気を失ってしまう。だが、ラウルに抱きとめられた彼女は朦朧とする意識のなかで無言の叫びをあげていた。だめよ、彼に妊娠を知られてしまうわ…絶対にだめ…!
大金で独立国ブレグノヴィアの大統領の座を買ったと言われる危険な革命家リザルド。ティファニーはアメリカ大統領候補の父親に彼との接触を頼まれ、特権階級が集う秘密クラブQヴィルトゥスに赴く。夫が事故死してから華やかな場所は苦手。私も大怪我を負い醜い傷跡を抱えているから…。幸いにもクラブは仮面着用がルール。傷跡が隠れたティファニーは大胆になり、出会った強烈にセクシーな男性に抱かれてしまう。その人物こそがリザルドだとは夢にも思わずに――。
シングルマザーのナタリーは、幼い娘の世話と仕事に追われ、恋愛とはいっさい無縁の毎日を過ごしていた。ある日、出張でパリを訪れた彼女は、上司のギリシア人大富豪デミトリ・マクリコスタから食事に誘われる。ナタリーは彼の熱い眼差しに心ときめかせるも、これは仕事と自分に言い聞かせる。ところが、デミトリと食事をともにするうち、彼の魅力に抗えず、求められるまま体を重ねてしまう。これは一夜限りの幻想――それで終わるはずだったのに…。
その美貌ゆえ実の母に疎まれ、ルリは遠い異国の老女性実業家メイに14歳で売り渡された。メイの秘書として仕え、22歳になるまでの8年間、屋敷から一歩も外へ出ることすら許されず…。ところがメイが突然亡くなり、遺産を引き継ぐ孫のガブリエル・ディーンが現れると、状況は一変する。亡きメイは遺産相続にあたり、ガブリエルがルリと結婚することを条件にしていたというのだ。私は再び売られるのだろうか。絶望するルリを、ガブリエルは強引に承諾させようと…!?
ハリア王国の王女ガリラは、兄から執務室に呼ばれるも先に部屋にいた男性に驚いた。昨日、彼女は兄の愛のない結婚にひとり悲しんでいた。結婚は愛あってこそだと思う私の前に颯爽と現れ、親身になってくれて、キスを残して去っていったのが彼だったのだ。もう一度彼に会えるなんて…! そう思ったのもつかの間、彼はジリア王国の国王カリムだと名乗り、彼女に結婚を申し込んできたのだ。急すぎる申し出に断るも王家の秘密を切り出されてしまい―――…!?
イギリス人家庭教師ファーンは雇い主に従ってクアマラ国のオアシスを訪れ、妻を亡くした王ザフィルと出会う。ふたりは思いがけず恋に落ちるが、幼い頃から“色欲は罪”と教えこまれてきたファーンは、23歳の今でも純潔を守りつづけていた。ところがザフィルがオアシスを去る前日、情熱に駆られついに身を捧げ、その結果、彼の子を身ごもってしまったのだ。おなかの子は禁忌の証……ザフィルに伝えることすらできず、ファーンはひとりクアマラ国をあとにするが…!?
アンジェリクは人気デザイナー。富豪で美貌に恵まれ、双子の妹と、同じく兄たちも双子で美形と来れば、いやでもゴシップ誌の標的とされ、誰とでもすぐ寝る悪女と誤解されていた。ある日、砂漠の国の王子カシムがいきなり訪れ、アンジェリクを自分の妹ハスナの婚約者の愛人と決めつけてすぐ手を引けと怒鳴り込んできた。誤解を解こうとすると、カシムに突然、唇を奪われた。罰するような激しいキスに、抵抗するどころかアンジェリクは彼にすがりついてしまい……。
「彼に会わせて!」社長のセサル・モンテロが交通事故に遭い、病院に搬送されたが個人秘書のソーチャは身内でないという理由で面会すら許されずにいた。彼のもとで働きだしてからずっと惹かれる想いを隠してきたが、その想いが実を結んだ直後の不運。そのうえ、彼の婚約者は“独身最後の火遊び“に対しての手切れ金を渡してこようとする。セサルの愛は一夜の幻だったのね…絶望したソーチャは姿を消した。彼とはもう、永遠に会うことはない…!?
奥手な娘オクタヴィアは父親の命令でイタリアの実業家アレッサンドロと結婚した。当初は夫の従兄弟プリモとまとまるはずが本人に断られ、幸運にもアレッサンドロに見初められたのだった。昼夜を分かたず愛され、やがて妊娠の望みを果たした彼女だが、夫にロンドンの名医のもと、ひとりで産むようにと言われ愕然となる。なぜ一緒にいてくれないの? 彼女には不安を募らせる理由があった。プリモから結婚の真相とアレッサンドロのある企みを聞いてしまったからだ!!
ミコラス・ペトライデス――今日、妹が政略結婚するはずだったギリシアの大富豪。ヴィヴェカは不憫な妹のために、花嫁になりすまして祭壇に立ち、妹が恋人と逃げおおせるまでの時間稼ぎをする予定だった。ところがすぐにミコラスに見破られ、彼が所有する豪華なクルーザーに連れてこられたヴィヴェカ。事情を説明して解放してもらうはずが、ミコラスは彼女に冷酷に告げた。「結婚は絶対条件で、妹の代わりに結婚してもらう」と。そして熱く強烈なキスをしてきて――!?