願い事の叶う指輪よ。お兄ちゃんに貸してあげる。一年経って夢が叶ったら、お兄ちゃんの一番いらないものをちょうだい――。それは幸運のメビウス・リング。表も裏も同じ面にある奇怪なリング。謎の少女からリングを受け取った星川瞬は、サックス奏者としてスターダムにのし上がって行くが…。『星の瞬き』。少女ホラー作家・杉山祐子が綴る、不思議なショート・ストーリーズ。
それは、麻美が小学校教師になって3年目の出来事。3年2組のまとめ役だった明るい生徒が、突然学校で飛び降り自殺した。数日後、同じクラスの別の生徒が、今度は体育倉庫で首吊り自殺した。理由は全く見当もつかない。事件は週刊誌のネタにされ、麻美は奇異の目に晒されて、次第に追い詰められてゆくが…。『サークルゲーム』。現代社会ならではの恐怖を描いた、サスペンス・ホラー短編集。
小林小太郎は探偵である。それもただの探偵ではない。「小林少年探偵社」の名のとおり、子供の事件しか扱わないのがウリで、しかも団員が弟・小次郎を除いて全員小学生の少年たちと言う、凄まじく趣味に走った探偵なのだ。その名も「B☆P(ボーイズ☆プロジェクト)」! 「B☆P」はリーダーの高遠悠以下10~12才の少年たちで構成され、現在正規のメンバーは5人。さて、今回はどんな事件がB☆Pを待ち受けるのか? ネバーランド・ショタフィーバー・探偵ファイル!
ノラショタを拾った高校一年の国崎海里。河原のダンボールの中で捨て猫みたいにうずくまっていた。名前は松宮律、孤児院から脱走した小学五年生。ホームの先生から日常的に暴力を振るわれていて、体には生々しい痣が浮かんでいた。里親にもらわれて行った「奏ちゃん」を探しに飛び出したらしい。父と二人暮らしの海里には、家族の愛に飢えている律が他人事には思えなくて…。ほんのりBLチックな家族ドラマ他、短編作品も収録。
友人の万里男(まりお)に連れられて新体操部の見学に訪れた遊星(ゆうせい)は、鏡の中でクラシックバレエを踊る、赤いトウシューズの女の子の姿を見る。鏡にははっきり映っているのに、彼女の姿は鏡の中にしかいなかった。そして数日後、事件は起きる。例の鏡が割れて倒れ、一人の新体操部員が下敷きになり…。『真紅のアラベスク』。他に、著者自身の恐怖体験を綴った『少女は真夜中に歩く』など、ホラーだけどどこか切ない短編ばかりを集めてみました。
あやちゃんは自分の死に気付かず、毎晩彼の家に電話をかけ続けた。例え死んでしまっても、彼を想う気持ちは普通の女の子とちっとも変わらない。なんだかとても切なくて… こうして生まれたのが『銀のレクイエム』シリーズ。杉山祐子が哀しい女の子の幽霊の話を描けるのも、「幽霊は怖いもの」と言う固定概念を打ち砕いてくれた彼女のおかげ――。作者の知人の実体験を元に描かれた表題作など、哀感漂うオカルト短編シリーズ。